トッド・ブランシュの名前が、トランプ大統領のSNS投稿で突然浮上した。司法長官代行として「驚異的な仕事をしている」——大統領が指揮系統を越えて現役の最高法執行官を名指しで称賛するのは、普通の光景じゃない。しかもブランシュは、ついこの間までトランプの個人弁護士だった人物だ。

元個人弁護士が司法長官代行、その経緯を整理する

ブランシュはかつてトランプの刑事事件を担当した個人弁護士として知られる。2024年の機密文書事件や口止め料裁判でも代理人を務めた人物が、今や米国最高の法執行機関のトップに座っている。

司法長官代行という肩書きは「代行」とはいえ、FBI捜査の優先順位から起訴判断まで、実質的な影響力は本来の長官とほぼ変わらない。その人物の過去のキャリアが「トランプ弁護士」一色というのは、さすがに調べれば引っかかる点だった。

「トッド・ブランシュは米国の司法長官代行として驚異的な仕事をしている。」— Donald J. Trump(Truth Social)

この投稿そのものは短い。だが短いからこそ、大統領が現役の司法長官代行を「俺の部下として評価している」というメッセージとして読める。米国では伝統的に、大統領は進行中の司法案件について公式にコメントを控える慣行がある。それを「SNSの投稿だから」という理由でくぐり抜けているような印象を受ける。

トランプ司法介入の疑義、今回が初めてではない理由

トランプ政権下で司法の独立性が問われたのは、今回が初めてじゃない。第一次政権時には、当時のコミーFBI長官解任が議会で大きな問題になった。今回は弁護士だった人物をそのまま司法トップに据え、さらに大統領自身がSNSで公認するという構図になっている。

「元個人弁護士」「司法長官代行」「大統領による公開賞賛」——この三つが重なると、司法機関の独立性という概念がどこまで機能しているのか、外から見えにくくなる。法執行の中立性に疑問を持つ研究者や元司法省職員がここ数週間でメディアに相次いで登場しているのも、そういう文脈だろう。

この先どうなる

ブランシュが正式な司法長官として上院の承認を得るかどうかが、次の注目点になりそうだ。「代行」のまま長期間運営を続ければ、議会承認というチェック機能がそもそも発動しない。トランプ司法介入の疑義が続く中、野党民主党は公聴会での追及を強める構えを見せており、司法長官人事は今後も政治的な火種であり続けるんじゃないか。国際社会も米国の法の支配の信頼性を静かに測っている。