ホルムズ海峡封鎖が、合意から数日で現実の脅威に戻った。7月14日、イランがタンカー2隻を攻撃し、さらに米軍施設への砲撃まで実施。ニューヨーク・タイムズによれば、米国は翌15日にもイラン港湾への封鎖を再発動する計画を固めたという。一時は172隻が通過した和解の回廊が、あっという間に戦線に変わった格好だ。

タンカー攻撃から港湾遮断まで、動きが速すぎる24時間

調べてみると、今回の衝突の連鎖はとにかく密度が高かった。イランによるタンカー攻撃と米軍施設砲撃が同日に起きて、翌日には米側が港湾封鎖の計画を立てる。外交的な猶予はほぼゼロに近い。

ホルムズ海峡は、サウジアラビア・イラク・UAE・クウェートといった主要産油国の原油が通る唯一の海上ルートで、世界の石油輸送量の約2割が集中する。ここが詰まれば、代替ルートは存在しない。パイプラインはあるにはあるが、全量を肩代わりできる容量にはほど遠いのが現状らしい。

「両国はこの海峡をめぐる公然の戦争状態へと逆戻りし、米国は火曜日にイラン港湾への封鎖を再発動する計画を立てた。イランはタンカー2隻を攻撃し、米軍施設に砲撃を行ったと述べた。」(ニューヨーク・タイムズ、2026年7月14日)

米国側の港湾遮断は、対イラン制裁の枠組みを超えた物理的な海上封鎖を意味する可能性がある。イランの原油輸出は日量400万バレル規模とされており、これが再び市場から消えるリスクは、米イラン軍事衝突2026の文脈でも前例のない水準だ。

原油400万バレルが消えたら、日本の電気代と輸送コストはどうなる

イランは原油輸出国としてはOPEC第3位クラスの生産力を持つ。制裁が効いていた時期にも一定量が中国経由で市場に流れ込んでいたため、完全遮断となればその穴は想像以上に大きくなる。ブレント原油が急騰すれば、ガソリン価格から電気代、食品の輸送コストまで連鎖する。日本は原油輸入の中東依存度が依然9割近くあり、ホルムズを通らない原油はほとんどない。

ここで引っかかるのは、今回の攻撃がなぜこのタイミングだったのかという点だ。合意直後の「蜜月期間」に攻撃を仕掛けるのは、イラン内部の強硬派が交渉路線を潰しにきた動きとも読める。いずれにせよ、イランのタンカー攻撃が持つ意味は軍事的な挑発にとどまらない。

この先どうなる

米国が実際に港湾封鎖を発動すれば、イランはホルムズ海峡そのものを「閉じる」と警告を繰り返してきた。封鎖対封鎖という最悪シナリオに踏み込むかどうかは、今後数日の動向次第だろう。原油市場はすでに織り込みを始めているはずで、週明けの先物価格がひとつの答えを出す。日本政府のエネルギー備蓄対応と、タンカー各社の航路変更判断も注目ポイントになってくる。合意が172隻の通過を実現したように、外交の窓がもう一度開くかどうか——楽観はできないが、可能性がゼロとも言い切れない状況ではある。