ホルムズ海峡封鎖が現実になった。7月13日、トランプ大統領はTruth Socialへの投稿で米国が同海峡の「守護者」を自称し、全通過貨物に20%を課金すると宣言。米中央軍(Centcom)は翌14日16時(東部時間)からの封鎖再発動を確認した。同じ日、UAEはイランによるクルーズミサイル攻撃を受けた自国タンカー2隻から乗組員1人が死亡、8人が負傷したと発表。海峡は今、法的な主権争いと実弾が同時進行する異常な状態にある。

UAE타ンカー被弾、死者1人―「3夜連続」米軍の打撃と重なった夜

UAEの国防省がXで声明を出したのは現地時間の月曜夜。「この厚かましい攻撃を非難する。国際法の重大な違反であり、地域の安全と安定を脅かすものだ」という言葉は外交的には異例の強さだった。負傷者8人のうちインド人が6人、ウクライナ人が2人。多国籍乗組員が犠牲になったことで、事態の国際的な広がりが一気に浮かぶ。

一方、米軍は日曜夜から3夜連続でイランへの空爆を実施。トランプは「イランを非常に強く叩いている」と投稿した。交渉と攻撃が並走するという奇妙な局面で、それでも同大統領は「合意はまだ可能だ」と言い切っている。

「アメリカは今この瞬間から、ホルムズ海峡の守護者として知られることになる。だが公平性の観点から、この極めて不安定な海域の安全と治安を維持するために必要なあらゆるコストとして、通過する全貨物の20%を徴収する」―ドナルド・トランプ(Truth Social、2026年7月13日)

これに対してイランの外相は、テヘランこそ海峡の「GUARDIAN」だと即反論。あえてトランプの単語をそのまま返すという形を選んだ。どちらが管理者かという主張の衝突は、既に外交用語を超えている。

20%課金でタンカー運賃はどう動くか―日本のLNGと原油に直撃

ホルムズ海峡は世界の原油輸送の約20%が通過するルート。日本にとっては中東産原油の9割近くがここを通る。LNG輸入でもカタール産が主力で、同じ航路に依存している。

トランプの言う「通過貨物の20%課金」が実際にどう徴収されるかは不透明だが、タンカー運賃への転嫁は避けられないとみるのが業界の共通認識だ。Centcom blockade Iranの発動によって保険料率が跳ね上がることも、コスト上昇に拍車をかける。前回、紅海でフーシ派攻撃が激化した際、タンカースポット運賃が数週間で3倍近く上昇した経緯がある。今回はホルムズ海峡封鎖という、より根本的な動脈に刃を当てている。

日本政府はエネルギー安全保障の観点からルートの多様化を進めてきたが、中東依存度は依然として高い。電気代や灯油価格への転嫁は、この冬の国内物価に直結してくる可能性がある。

この先どうなる

鍵は「交渉とトランプ20%課金の併走がいつまで続くか」だろう。封鎖が長期化すれば中国やインドも黙ってはいられない。両国ともイランの主要な原油輸入国であり、課金拒否に動けばホルムズ海峡封鎖は一気に多国間対立に発展する。逆に米イランが水面下で合意にたどり着けば、封鎖は「見せ札」として回収される可能性もある。トランプ自身が「合意はある」と言い続けているのは、そのシナリオを捨てていないサインかもしれない。タンカー市場は今週、運賃と保険料の両面で急激な値動きが予想される。次の分岐点は14日16時(東部時間)の封鎖発動直後、各国タンカーが実際に通過するかどうかだ。