ホルムズ海峡封鎖が再び動き出した7月14日、イランはタンカー2隻を攻撃し、さらに米軍施設への砲撃まで踏み込んだ。世界の石油輸送量の約20%が通過するこの海峡で、ここまで複合的な軍事行動が重なったのは久しぶりだった。

タンカー2隻被弾、米軍基地砲撃——7月14日に何が起きたか

報道によれば、イランは同日、ホルムズ海峡を航行中のタンカー2隻に対して攻撃を実施。さらに周辺の米軍施設への砲撃も行ったとされている。これを受けて米国は、イラン港湾への封鎖を翌15日から再発動する計画を進めた。

「米イラン両国は同海峡を巡る事実上の戦争状態に逆戻りし、米国は火曜日にイラン港湾への封鎖再発動を計画。イランはタンカー2隻への攻撃と米軍施設への砲撃を実施したと述べた。」(The New York Times, 2026年7月14日)

原油市場は即座に反応し、北海ブレント先物が一時急騰。海上保険のリスクプレミアムも跳ね上がり、ホルムズ通過船舶への保険付保を見合わせる動きが一部で出始めたらしい。イランタンカー攻撃が単発の示威行動にとどまらず、「港湾封鎖の引き金を引かせる」意図だったとすれば、作戦的には相当に計算されていたことになる。

核合意交渉はどこへ——外交テーブルが崩れる速さ

ここで引っかかったのが、交渉のタイミングだった。核合意をめぐる米イラン協議は、この攻撃の直前まで断続的に続いていた。それが一夜で「事実上の戦争状態に逆戻り」と報じられるわけだから、外交テーブルの脆さはかなり際立つ。米イラン軍事衝突が激化すれば、交渉の仲介役を担ってきた欧州諸国の立場も相当に難しくなる。停戦条件の提示すら、双方が受け取れる状態じゃなくなってくる。

日本への影響も小さくない。日本の原油輸入のうちホルムズ海峡を経由する分は8割超と言われており、封鎖が長引けば備蓄の取り崩しと調達先の多角化を同時に迫られる。LNG輸送ルートへの波及も見ておく必要がある。2026年初頭のカタール発LNGがホルムズを避けて迂回したケースが記憶に新しいが、今回はそれより事態のスケールが大きそうだった。

この先どうなる

封鎖の再発動が実行されれば、イランは対抗措置としてホルムズ海峡の完全閉鎖カードを切る可能性がある。ただ、イラン自身の石油輸出もこのルートに依存しているため、「完全封鎖」は自縄自縛になりかねない。現実的には、タンカーへの嫌がらせ攻撃と米軍の限定的報復が繰り返される「低強度の消耗戦」が続くシナリオが濃厚だろうか。問題はその消耗戦が、核合意交渉の余地を完全に消してしまうかどうか。外交チャンネルが細くでも残っているうちに、何らかのシグナルが出るかどうか——そこを次の数日で見ておくべきだと思う。