ホルムズ海峡封鎖をめぐる交渉が決裂した翌日、米軍はイラン国内の新たな標的へ爆撃を実施した――というのがWSJの報道だ。世界の原油輸送量の約20%が通過するこの32キロ幅の水路が事実上の封鎖状態に置かれれば、アジアへ向かうタンカーも、欧州向けのLNG船も、行き場を失う。タイミングが意味深すぎて、単なる軍事オペレーションとは読めなかった。
「開けろ」→「嫌だ」→即爆撃 米イランの48時間
米国がテヘランにホルムズ海峡の国際航行開放を正式要求したのは、爆撃の数日前とされる。イランはこれを主権侵害と断じ、拒絶。その回答を受けた形で、米軍は新たな目標への攻撃に踏み切った。
「イランがホルムズ海峡の国際航行開放要求を拒否した後、米国はイラン国内の新たな目標を攻撃した」(The Wall Street Journal)
外交圧力が通じなければ軍事行動へ――という段階的エスカレーションは、米軍の行動原則として珍しくない。ただ今回の爆撃は、交渉テーブルを壊した側がどちらか、という解釈をめぐって各国が真っ二つに割れる案件になりつつある。イランは国際社会への訴えを強め、孤立を深めながらも対話の窓を閉め続けている。
原油20%ルート喪失 アジア市場が最初に食らう
ホルムズ海峡を通過するのはサウジアラビア、イラク、クウェート、UAEなどペルシャ湾岸諸国からの原油だ。日本の原油輸入の約8割はこのルートを経由している。海峡が本格封鎖されれば、代替ルートはアフリカ南端を迂回する喜望峰ルートしかなく、輸送コストは大幅に跳ね上がる。中東 原油 供給リスクが現実化した場合、アジア市場が最初に打撃を受けるのはほぼ確実だ。
欧州も例外ではない。カタールからのLNG供給が止まれば、2022年のロシア産ガス喪失に続く二度目のエネルギーショックとなりかねない。米軍 イラン 爆撃の応酬が長引くほど、保険会社がタンカーへの保険引き受けを停止するリスクも現実味を帯びてくる。
この先どうなる
米国は現時点で「外交ルートは閉じていない」と言い続けているが、爆撃直後に対話を呼びかけても相手が出てこなかった前例は多い。イランの強硬派は今回の攻撃を「政権維持の口実」に使い、むしろ核協議への復帰を遠ざける方向に動く可能性が高い。
一方でホルムズ海峡封鎖の長期化は、イランにとっても石油収入の完全喪失を意味する。経済的に追い詰められた政権が妥協するのか、さらに強硬に出るのかは、今後2〜3週間の海峡周辺での動きを見るしかない。「爆撃が交渉を助けるか、壊すか」という問いの答えは、おそらくテヘランの次の一手が出るまで誰にもわからないだろう。