ヨーロッパ熱波2025が「1300人超の死者」という数字を叩きつけてきた。6月28日、WHO事務局長テドロスがX上で明かしたのは、6月21日以降に記録された超過死亡の規模。しかもこれ、まだ「途中経過」らしい。
フランスだけで約1000人、65歳以上に集中した死亡超過
フランス保健省が水曜日以降の集計として公表した数字が約1000人。単独国でこの規模なのだから、大陸全体で1300人超というWHOの数字も、むしろ過小評価かもしれないという見方もある。
死亡超過の大半は65歳以上で、自宅での死亡数が40%増という報告も出ている。病院ではなく、暑さをしのぐ手段のない部屋の中で——というのがこの熱波の怖さだ。
「熱ストレスはしばしば『沈黙の殺し屋』と呼ばれる。ヨーロッパの住宅・職場・学校はこれほどの気温に対応できるよう建てられていない。ヨーロッパは地球上で最も急速に温暖化が進む大陸であり、世界平均の2倍のペースで加熱している。」——テドロスWHO事務局長
「沈黙の殺し屋」という言葉が刺さる。洪水や嵐と違って、熱波には映像的なインパクトがない。でも数字を見ると、その「静かさ」がかえって不気味に感じられる。
ドイツ41.7℃、チェコ41.1℃、ポーランド40.5℃——同じ日曜に3カ国が最高記録
ドイツ東部ブランデンブルク州コッシェンで観測された41.7℃は、3日連続の史上最高気温更新という異常な連続記録の末に出た数字だ。チェコはプラハ北方のドクサニで41.1℃を記録、ポーランドはスウビツェで40.5℃——3カ国が同じ日曜日に観測史上最高を塗り替えたのは、単なる「暑い夏」では説明がつかない。
WHO超過死亡のデータと気温記録を並べると、熱波の東進と死亡ピークのタイムラグが気になってくる。フランスで先に死亡超過が膨らみ、その後ドイツ・東欧へ熱が移動した——被害の波もそのまま東へ追いかけていくんじゃないかという懸念がある。
この先どうなる
チェコの気象当局は「日曜がピーク」と予報したが、それはあくまで西側の話。熱波の前線は今もポーランドから東欧・バルカン方向へ移動中とみられる。WHO超過死亡の集計はさらに積み上がる可能性が高く、最終的な死者数は今の1300人をはるかに上回ると予想する専門家も多い。
「ヨーロッパは世界平均の2倍のペースで加熱している」というテドロスの言葉は、今年限りの話じゃない。建物の断熱性能、都市のヒートアイランド対策、高齢者向けの冷却支援体制——どれも数年単位では追いつかない課題だ。翻って日本の夏を考えると、「他人事」とは言いにくい空気が漂ってくる。