ホルムズ海峡でまた船舶が攻撃された。しかも、数日内に2度目。世界の原油輸送量の約20%が通過するこの狭い海峡が、再び標的になっている。同じタイミングで、バーレーンはイラン製ドローンの直撃を受けたと表明した。米軍によるイラン軍事施設への空爆への報復とみられていて、攻撃と報復の連鎖が止まらない。
バーレーン ドローン攻撃の背景に米軍空爆
ことの発端は、米軍がイランの軍事施設を夜間に空爆したこと。その報復として、バーレーンがイラン製ドローンの標的になったとバーレーン当局は説明している。
バーレーンには米海軍第5艦隊の司令部が置かれていて、湾岸における米軍の中核拠点のひとつ。そこへのドローン攻撃は、単なる示威行動というより、米軍プレゼンスへの直接的な挑発として受け取られている。
「バーレーンは米軍によるイラン軍事施設への夜間空爆への報復とみられるイラン製ドローンの攻撃を受けたと表明。ホルムズ海峡では数日内に2度目となる船舶への攻撃が発生した。」(The New York Times, 2026年6月27日)
注目したいのは、攻撃の対象が米軍基地だけじゃなく、民間船舶にも向いているという点。ホルムズ海峡での船舶攻撃が短期間に繰り返されているのは、封鎖の意思表示とも読めるし、単なる報復の手段とも取れる。どちらにせよ、海峡を航行するタンカーへのリスクが確実に高まっている。
米イラン停戦合意、崩壊するとしたら原油はどう動く
少し前、「ホルムズ再開合意」として原油価格が4.7%急落した局面があった。スイスで署名式が行われたというニュースが市場を安心させたわけだ。ところが今、その合意が攻撃の連鎖で根底から揺らいでいる。
米イラン停戦の崩壊が現実になれば、まず海上保険料が跳ね上がる。タンカー会社がホルムズ海峡を迂回し始めれば、輸送コストと所要日数が増加。原油の供給に時間的なラグが生じる。価格は需給よりも「不確実性プレミアム」で動くから、実際の封鎖が起きなくても市場はすぐ反応する。
日本にとって、ホルムズ海峡は生命線に近い。中東からの原油依存度は依然として高く、LNGもこのルートを通るものがある。エネルギーコストの上昇は製造業のコスト増に直結し、電力料金の再上昇も視野に入ってくるかもしれない。「対岸の火事」じゃないのは、過去の原油危機が証明している。
この先どうなる
焦点は3つ。第一に、イランが攻撃をこのまま拡大するか、それとも交渉の余地を残した「限定的報復」として収めるか。第二に、米国がバーレーン攻撃に対してさらなる軍事行動で応じるか。第三に、暫定合意の枠組みが完全に失効するタイミングをどこに設定するか。
市場参加者が最も恐れているシナリオは「段階的なエスカレーション」で、どちらも「やめる口実」を持てないまま攻撃が続くケース。ホルムズ海峡での船舶攻撃が3度目、4度目と続けば、保険会社が通行保証を拒否し始め、事実上の封鎖と同じ効果が生まれる可能性がある。合意が紙の上にある間に、現場が既成事実を積み重ねていく——そういう展開が、今一番現実的に見える。