コスピ暴落の幅が、最高値から10%に達した。最後にこのレベルを見たのは2020年のコロナ禍——そう調べたとき、数字の重さが少し変わった気がした。ナスダック100先物も同時間帯に2.5%超下落しており、テック株の売りが一点から世界市場へ波及していった格好だ。

サムスン・SKハイニックスが「世界の体温計」になった理由

韓国が揺れると世界が反応する、というのは偶然じゃない。韓国は輸出依存度が高く、なかでもサムスン電子とSKハイニックスはAI・半導体ブームの象徴銘柄として世界中の機関投資家がポートフォリオに組み込んでいる。この2銘柄の動きは、グローバルな投資家心理のバロメーターに近い。今回の急落は、その「体温計」が一気に下振れしたともいえる。

背景にあるのは割高感への警戒だ。過去2か月でリスク資産が一斉に急騰したことで、特に米国市場では半導体・AI関連への過大評価が意識され始めていた。機関投資家の利益確定売りが加速したのは、ある意味で予告されていた展開だったかもしれない。

「韓国コスピ指数が最高値から10%急落。ナスダック100先物が2.5%超下落するなど世界株が急落した。過去2か月のリスク資産急騰を経て、割高懸念が新たな相場変動を引き起こした形だ。」(Bloomberg)

ナスダック先物急落との連動を見ると、震源はあくまで米テック株への評価見直しで、韓国はその最前線に立たされたという見方もできる。テック株調整が単発で終わるか、連鎖的な売りを誘発するかは、今週のマーケットが答えを出すことになる。

「調整」か「崩壊の序章」か——分かれ目は今週のFRB

市場関係者の間でいま最も注目されているのが、米連邦準備制度(FRB)の発言だ。利上げ・据え置き・緩和のどの方向にニュアンスが傾くかで、今回の下落が一時的な調整として吸収されるか、さらなる売りの口実になるかが変わってくる。2020年のコロナ急落は中央銀行の大規模介入で急反発した。ただ今回は、インフレ対応の余地が当時より狭い状況下にある。「あの時と同じ」とは言い切れないのが引っかかるところだ。

コスピ暴落が示しているのは、「上がりすぎた相場は何かをきっかけに必ず揺れ戻す」というシンプルな事実だったりする。問題はそのきっかけが今回何だったのか、まだ完全には特定できていない点で、それが投資家の不安を余計に長引かせている。

この先どうなる

今週のFRB高官発言と、週末にかけての米テック株の動向が最初の分岐点になりそうだ。FRBがタカ派姿勢を維持すれば、ナスダック先物急落の流れが続く可能性は否定できない。一方で「調整一巡」のシグナルが出れば、コスピを含めたアジア株の反発が早まるシナリオもある。いずれにせよ、今回のテック株調整はAI・半導体バブルへの市場の本音が初めてはっきり見えた局面として記憶されるかもしれない。短期的な反発があったとしても、割高感という火種は消えていないとみておくのが自然だろう。