イラン核査察の合意が、署名からわずか数日で揺らいでいる。トランプ大統領がTruth Socialに緊急投稿し、イラン側が「虚偽の声明を繰り返している」と名指しで批判したのだ。原油市場が4.7%急落した直後の出来事だけに、市場関係者はこの投稿を黙って見過ごせない状況になっている。

トランプがTruth Socialに投稿した「全員が承知している」の意味

問題の投稿でトランプ氏が強調したのは「全員が承知している」というフレーズ。合意内容は関係者すべてが理解しているはずだ、というメッセージだった。

「彼らの抗議や、それに反する虚偽の声明にもかかわらず――」

この一文が示すのは、イラン側がすでに何らかの「異議申し立て」か「別解釈」を公表していた可能性。つまり合意文書の中身ではなく、その「読み方」をめぐって双方がまったく別のシナリオを描いているらしい。交渉の失敗ではなく、合意後の解釈戦争に入ったってことだ。

ホルムズ海峡リスクが再び数字で動き始める条件

核査察の枠組みが機能しているあいだ、原油市場はひとまず「危機の棚上げ」状態にある。だが今回のような認識ズレが公式化すれば、話は変わってくる。

ホルムズ海峡を通過する原油は世界供給量の約2割。イランが査察を拒否・制限に転じた場合、封鎖リスクのプレミアムが原油価格に乗り始める。スイスでの署名式後に一時落ち着いた市場が、再び神経質な値動きを見せるシナリオは十分ありえる。

しかも今回はトランプ氏が投稿の中でイランへの批判を「容赦なく」と表現している点も引っかかった。外交的な温度感を保った言い回しではなく、対立を煽るトーンに切り替わっているようにも読める。

この先どうなる

最大の焦点は、イランが正式に反論を出すかどうか。もし外務省レベルで「われわれの解釈が正しい」と声明を出せば、合意はほぼ空洞化する。トランプ氏のTruth Social投稿はその「踏み絵」的な役割も果たしているかもしれない。
一方でイランが沈黙を選ぶなら、水面下での再交渉に移行する可能性も残る。ホルムズ海峡リスクが再び原油価格に織り込まれるかどうかは、今後72時間のイラン側の出方次第といったところだろう。