ホルムズ海峡封鎖が、6月20日に現実のものとなった。イラン軍最高司令部が正式に封鎖を宣言したのだ。世界の原油輸送量の約20%が通過するこの海峡が閉じれば、サウジアラビアもUAEも、日本も韓国も、即座に打撃を受ける。そして今のところ、誰も「代わりのルート」を持っていない。

イランが封鎖の根拠に挙げた「米国の不作為」とは何か

イラン側が封鎖の正式な理由として持ち出したのは、米国によるレバノン停戦違反の黙認だった。イスラエルがレバノンの停戦合意を繰り返し破っているのに、米国はそれを止めなかった――というのが軍最高司令部の主張で、「阻止できなかったのではなく、しなかった」という含意がある。不作為による共犯、という言葉を使った点は注目に値する。外交上の失敗ではなく、意図的な放置として断罪する構図だ。

「イランの軍最高司令部は米国を非難し、イスラエルがレバノンの停戦に違反するのを防ぐことができなかったと述べた。JDバンスはフォックスニュースに対し、米国の交渉担当者がスイスにいると語った。なお、協議は以前から遅延していた。」(The New York Times, 2026年6月20日)

一方でJDバンス副大統領はFoxニュースに出演し、米国の交渉担当者がスイスに滞在中であることを認めた。ただしその言い方が微妙で、「滞在している」とは言っても「合意が近い」とは言わなかった。協議の遅延はすでに以前から続いていたらしく、スイスにいることと交渉が前進していることは、どうやら別の話のようだ。

原油供給リスクが現実になった日、湾岸と東アジアに残された選択肢

ホルムズ海峡の厄介さは、代替ルートがほぼ存在しないことにある。サウジアラビアはアブカイクからヤンブーへのパイプラインを持つが、輸送容量は海峡通過量には遠く及ばない。UAEのフジャイラ経由パイプラインも同様で、湾岸全体の輸出量を代替できる規模ではない。日本・韓国・中国・インドなどアジア主要消費国はこの海峡に依存度が高く、備蓄放出の議論は即座に浮上するはずだが、それも長期戦になれば底をつく。封鎖宣言から原油市場が動くまでのタイムラグは短い。すでに関連銘柄や先物市場は反応を始めているとみられる。

この先どうなる

スイスでの米・イラン協議が突破口を開けるかどうかが、当面の焦点になる。ただし「以前から遅延していた」という事実は重く、封鎖宣言という強硬手段をイランが取った以上、交渉のハードルはむしろ上がった可能性がある。イラン軍宣言を受けて湾岸諸国がどう動くか、米海軍の動向、そして原油価格の変動が連鎖的に次の展開を決める。封鎖が数日で解除されるシナリオも、長期化するシナリオも、今の段階では等確率に近い。原油供給リスクという言葉が教科書から出てきたような一週間になりそうだ。