ニジェール空港襲撃が、5ヶ月で2度、同じ場所に刺さった。2025年5月22日午前5時50分、首都ニアメのディオリ・ハマニ国際空港周辺で爆発音と銃声が響き、ニジェール国防省の発表では武装勢力22人・兵士11人・民間人2人の計35人が死亡。夜明けの礼拝を終えたばかりの住民が最初に気づいたのは「タイヤが破裂したような音」だったという。

アルカイダ系が犯行声明、1月はISIS系――2大勢力がニアメ空港を狙う理由

攻撃は同日夕方、アルカイダ系組織JNIM(イスラムとムスリムを支援する集団)が犯行を認めた。ここで引っかかったのは、今年1月の同空港攻撃はイスラム国(ISIS)系組織の犯行だった点だ。つまり、ライバル関係にある2大過激派がそれぞれ、同じターゲットに半年以内に牙を向いたことになる。

空港はニジェール最大の民間空港であると同時に軍基地を併設している。そこを繰り返し狙うのは、単なるテロではなく「国家の防衛拠点を機能不全にする」という戦略的メッセージと読むのが自然だろう。

「礼拝を終えた午前5時50分ごろ、大きな爆発音が聞こえた。タイヤが爆発したのかと思ったが、すぐに状況が分かった」(空港近くに住むLawalli Tsalha氏、BBC取材)

戦闘は午前中に沈静化し、治安部隊は残党の追跡に入ったが、サヘル地域全体で見ればこれは局地的な「鎮圧成功」ではなく、一連の攻勢の一コマに過ぎない。

ワグネル頼みに転じて2年、イスラム過激派の勢力はむしろ拡大している

ニジェールは2023年のクーデター後、フランス軍を事実上追い出し、ロシアのワグネル(現アフリカ軍団)に安全保障を委ねる路線に切り替えた。マリ、ブルキナファソも同じ流れで、3カ国は西アフリカ国家経済共同体(ECOWAS)から離脱して連携を深めている。

ところが現地の実態はどうかというと、ディオリ・ハマニ空港への攻撃が5ヶ月で2度繰り返されている。ワグネル導入後にサヘル地域のイスラム過激派が「制圧された」という証拠はほとんど見当たらない。むしろ攻撃の頻度と規模は上がっているのが実情で、外部の傭兵依存が長期的な安定を生み出せるのかどうか、疑問は深まるばかりだ。

米国はここへきて、クーデター後に関係を切っていたマリ・ニジェール・ブルキナファソの軍事政権と改めて接触する動きを見せている。中国・ロシアへの傾斜を崩したい地政学的計算があるにせよ、サヘルの住民にとってはどの大国が関わるかより、空港の近くで礼拝後に銃声を聞かない朝が来るかどうかの方が切実だろう。

この先どうなる

JNIMが犯行を認めたことで、ニジェール政府はJNIMとISIS系双方への対応を迫られる形になった。二つの過激派組織がそれぞれ別々のタイミングで同一拠点を攻撃しているなら、治安部隊の対処コストは単純に倍増する。

ワグネルとの契約継続が安全保障の主軸である以上、ニジェール単独で攻勢を跳ね返す能力には構造的な限界がある。国際社会の支援が乏しいまま続くなら、首都周辺での攻撃がさらに常態化する可能性は否定できない。次の攻撃が「6ヶ月後」ではなく「2ヶ月後」になってもおかしくない、そんな状況に入ってきたと見るべきだろう。