フーシ派弾道ミサイルが、紅海に展開中の米駆逐艦へ向けて発射された。米軍は迎撃に成功したと発表したが、これで終わりとはとても言えない雰囲気がある。米軍はすでにイエメンへの空爆を複数回実施している。それでも攻撃は続いた。抑止力という言葉が、ひどく空回りしている。
100発超えても止まらない――フーシ派の攻撃がここまで続く理由
フーシ派はイランの支援を受け、昨年来で弾道ミサイルと無人機を合わせて100発以上、商船や軍艦に撃ち込んできた。今回もその延長線上にある。調べると、フーシ派はガザ情勢への連帯を名目に掲げているが、実態としてはイランの地域戦略と一体化した動きになっている。米軍の報復空爆で指揮系統が乱れても、ミサイル在庫と発射能力は維持されているとみられている。
「米軍は、イエメンのフーシ派武装勢力が紅海の米駆逐艦に向けて発射した弾道ミサイルを迎撃したと発表した。」(AP通信)
紅海は世界の海上貿易量の約12%が通過するルートで、ここが不安定化するとスエズ運河を通れない船がアフリカ南端を迂回せざるを得なくなる。その分のコストはとっくに運賃に上乗せされており、世界の消費者がじわじわと負担している状況だった。今回の攻撃再燃で、その圧力がもう一段上がるリスクが出てきた。
原油市場とイラン交渉、2つの時限爆弾
エネルギー市場への影響も無視できない。紅海の緊張が高まるたびに、原油やLNGの供給リスクが意識され、価格が揺れる。スエズ迂回コストは既に高止まりしているところへ、今回の紅海 米駆逐艦 迎撃のニュースが重なった。市場参加者が神経質になるのはやむを得ない。
もう一つ気になったのが、タイミングだ。トランプ政権はここにきてイランとの交渉路線を模索しているとされる。フーシ派を支援しているイランに攻撃を止めさせることが、交渉の非公式な条件になっている、という見方もある。なのにフーシ派は動き続けた。イランがフーシ派を完全にコントロールできているのか、それとも意図的に継続させているのか、そこが読み切れないところだった。
この先どうなる
米軍による追加空爆は十分あり得るし、それでもフーシ派の攻撃能力が根絶できるかは怪しい。イエメン 米軍攻撃 が繰り返されるたびに、現地の民間被害も積み上がる。トランプ政権がイランとの核・安全保障交渉を前進させるには、フーシ派問題を切り離せないはずで、交渉の行方が紅海の安定に直結する構図が続く。次の焦点は、イランが仲介役として動くか否か。そこが動けば、紅海の空気が少し変わるかもしれない。