ビクトリア・コーツの名前が、トランプのタイムラインに突然現れた。米・イランの核交渉が続く今のタイミングで、それも「理解している人間はほとんどいない」という強い言葉を添えて。これを偶然と読むのは、さすがに無理がある。
「最大限の圧力」を設計した人物が再び照準に
コーツはヘリテージ財団の中東・エネルギー政策を担う研究者で、トランプ第一期政権では国家安全保障会議(NSC)の副補佐官として対イラン政策の立案に携わった。当時から「イランへの圧力こそが唯一の言語」と繰り返してきた人物で、経済制裁の強化や核合意離脱を支持する立場を崩していない。
その彼女を、トランプが今の時期に公に褒め上げた。ホルムズ海峡の緊張が世界の原油輸送の約20%に影響を与え続ける中、交渉の行方を読む上でこの「お墨付き」は無視しにくい。
「ヘリテージ財団のビクトリア・コーツは本当に素晴らしい!彼女のように理解している人間はほとんどいない。」――Donald J. Trump(Truth Social)
ワシントンで「大統領が名指しで褒める」という行為は、人事の予告にも、政策転換のシグナルにもなり得る。コーツ本人がどこかのポストに就くかは現時点で不明だが、少なくともヘリテージ財団の中東政策ラインがホワイトハウスの耳に届いていることは確かになった。
イラン核交渉2025、交渉チームに強硬派が入る可能性
現在の米・イラン協議は断続的に続いているが、進展は遅い。イラン側はウラン濃縮の上限を巡って譲らず、米側も「完全な核放棄」を要求する姿勢を崩していない。こういう膠着局面に「最大限の圧力」路線の支持者が表舞台に出てくると、交渉のトーンは変わりやすい。
コーツが政策立案の場に戻るかどうかはまだ分からないが、トランプが彼女の名前を出した事実は、少なくとも「今の交渉スタンスを維持するつもりだ」というメッセージとして受け取れる。あるいは、もっと強い圧力をかける前の地ならし、という見方もできる。どちらにせよ、中東外交ウォッチャーが彼女の次の発言に注目し始めるのは間違いない。
この先どうなる
イラン核交渉2025の次のラウンドがいつ開かれるかは未定だが、交渉チームの顔ぶれが変われば局面は一気に動く可能性がある。コーツが何らかの役職に就くか、あるいは諮問的な立場でホワイトハウスに関与するか。その動向が出てくるタイミングで、ホルムズ海峡周辺の原油市場も反応するだろう。トランプの一投稿が何を引き金にするかは、もう少し時間が経たないと見えてこない。ただ、あのタイミングでのあの言葉は、何かの前ぶれだった気がしてならない。