ホルムズ海峡が「署名の直後に全面開放される」——トランプ大統領がTruth Socialにそう投稿したのは、土曜日のことだった。世界の原油輸送量の約20%が通過するこの海峡を巡る米イラン交渉が、最終局面に差し掛かっているらしい。ただし、テヘランの返答は「待つ必要がある」の一言。両者の言葉の温度差は、今もそのままだ。

パキスタンが「24時間以内」と明言した理由

今回の交渉で目立つのが、パキスタンの存在感だ。シャリフ首相は「電子署名の準備を進めている」と述べ、仲介役であることをほぼ認めた形。米国ともイランとも一定の距離を保てるポジションが、ここで生きている。

トランプの投稿にはもう一つ、気になる一節があった。「核の塵を回収し、破壊する」という表現だ。イランが長年蓄積してきた濃縮ウランの処理を指しているとみられるが、「核施設への直接関与」と読めなくもない。イランがこの部分をどう受け取るかは、署名後の最大の火種になりうる。

「合意は明日署名される予定であり、署名直後にホルムズ海峡は全面開放される」——ドナルド・トランプ(Truth Social投稿より)

さらにトランプは「迅速かつ円滑に進まなければ、究極の代替手段がある」と付け加えた。軍事オプションを消さないまま交渉テーブルに座るのは、彼の定番スタイルとはいえ、イラン側がこの言い回しをどう解釈するかで、雰囲気は一変しかねない。

イラン外務省が「明日ではない」と言い切った重み

イラン外務省報道官バガエイの発言は短かったが、含意は重い。「署名の正確な日程については待つ必要がある。明日ではない」——これはトランプ発言への直接的な否定であり、国内向けのメッセージでもあったはずだ。米イラン核合意をめぐっては、イラン国内でも強硬派と穏健派の綱引きが続いており、外務省が慎重に言葉を選んでいるのが透けて見える。

パキスタン仲介という構図も、イラン国内では「米国側に引き寄せられている」と映るリスクがある。署名のタイミングを急ぐことが、かえって国内の反発を招きかねない——そんな計算が、バガエイの慎重発言の裏にあるんじゃないかと思う。

この先どうなる

日曜日に署名が実現するかどうかは、この記事を書いている時点でまだわからない。ただ、パキスタンが「24時間以内」と断言した以上、何らかの文書が交わされる可能性は低くない。問題はその中身だ。「核の塵の回収」「ホルムズ海峡の開放条件」「軍事オプションの棚上げ」——これらが合意文書にどう書かれるかによって、原油市場と地域の安全保障は大きく動く。米イラン核合意の行方は、週明けの市場開場前に最初の答え合わせを迎えることになりそうだ。