ホルムズ海峡再開を含む合意文書が「流出」した翌日、トランプはそれを「真実とは無関係」と言い切った。合意は本当に成立したのか——そこが今、最も引っかかるところだった。

アラグチー外相が語った14項目の中身

イランのアラグチー外相は国営テレビに出演し、米国との戦闘終結に向けた合意が最終局面に入ったと述べた。内容にはホルムズ海峡の再開に加え、米側によるイランへの海上封鎖解除も盛り込まれているという。ただし、核開発をめぐる交渉は今回の枠組みには含まれず、後続の協議に回されるとした。

同海峡は世界の原油輸送量の約20%、LNGの約25%が通過するエネルギーの咽喉部。2月28日の米・イスラエルによる攻撃を契機にイランが事実上の封鎖に踏み切って以来、原油市場は断続的な波乱にさらされてきた。

「合意はホルムズ海峡の再開とイランへの米封鎖解除を含む。核問題の交渉は後続協議に委ねられる」——アラグチー外相(BBC/Reuters報道より)

米側当局者も合意の一部を確認しているが、「イランが義務を履行して初めて経済的恩恵が発動する」と条件付きの立場を崩していない。

トランプの「攻撃キャンセル」発言と文書否定の落差

木曜、トランプ大統領は「予定していた対イラン攻撃を直前でキャンセルした。素晴らしい合意が成立した」と明言した。この発言だけ切り取れば、停戦交渉は決着ずみに映る。

ところが翌金曜、イランメディアが14項目の合意文書を流出させると、トランプは態度を一変。「その内容は合意した条件とまったく異なる。真実とは無関係だ」と全否定した。攻撃キャンセルは認める、でも文書の中身は否定する——この矛盾した発言が、交渉の実態をかえって見えにくくしている。

仲介役を担ったパキスタンのシャリフ首相は数時間後に声明を出し、合意に向けた前進を評価したとされる。ただし、最終合意文書の正式公表はまだない。米イラン停戦交渉をめぐる情報戦は、現時点でも続いているらしい。

この先どうなる

当面の焦点は二つ。ひとつは、ホルムズ海峡の物理的な通航再開がいつ確認されるか。もうひとつは、今回の枠組みから外された核交渉が次フェーズでどこまで進むかだ。イラン側は核問題の先送りを「合意の欠陥ではなく段階的アプローチ」と位置づけているが、米側が同じ解釈かどうかは判然としない。トランプの「文書否定」が交渉の仕切り直しを意味するのか、それとも外交的なポーズなのか。次の48時間で輪郭が出てきそうだ。