米イラン空爆が第2幕に入った瞬間、戦線はイスラエル周辺という「想定内の地図」を飛び越えた。米軍がイランへの追加空爆に踏み切ると、イランは即座にヨルダンと湾岸3カ国へミサイルとドローンを一斉に撃ち込んだ。親米国家であり米軍基地まで抱えるヨルダンの首都アンマン上空を、迎撃ミサイルが飛び交っていた——そんな映像がリアルタイムで流れてきたとき、これはもう局地戦じゃないと気づいた人も多かったんじゃないかと思う。
アンマンで何が起きたか——ヨルダンが攻撃対象になった理由
ヨルダンは中東では数少ない親米路線を堅持する国だ。2024年のイラン・イスラエル緊張時にも、ヨルダン軍はイランのドローンを自国領空で撃墜して話題になった。つまりイランから見れば、ヨルダンは「米国の防壁」に映っている。今回のミサイル斉射は、反撃というより米国の中東ネットワーク全体を揺さぶる布石に近い読み方もできる。
湾岸3カ国への攻撃も同じ文脈で見るとわかりやすい。サウジアラビア・UAE・バーレーンはいずれも米軍のプレゼンスが大きく、バーレーンには第5艦隊の司令部まである。ここを巻き込むことで「戦争のコストは米国にも跳ね返る」というメッセージを送った、とも読めた。
「米国がイランへの新たな空爆を実施。イランはこれに反撃し、湾岸諸国とヨルダンへ攻撃、複数の中東諸国を巻き込む対立が激化した。」(AP通信)
ホルムズ海峡リスクが静かに原油市場を揺らし始めている
調べてみると、ホルムズ海峡を通過する原油量は世界需要のおよそ20%。1日換算で約2000万バレルが通るルートだ。この航路が封鎖や不安定化に向かえば、代替ルートはサウジの「東西パイプライン」しかなく、処理能力は全量をカバーできない。つまりホルムズ海峡リスクが現実化すると、数週間以内に世界のガソリン価格へ直撃する経路が存在する。
今のところ市場の反応は限定的だが、それはおそらく「まだ封鎖には至っていない」という判断によるものだ。ただ、ヨルダン攻撃という「想定外の拡大」が起きた以上、次の想定外が海峡封鎖である可能性は以前より高くなったと言えそうだ。エネルギー関連株や原油先物の動きはここ数日、要注意の局面に入っている。
この先どうなる
焦点は3つある。①米国が三度目の空爆に踏み切るか、②ヨルダンや湾岸諸国が自衛的な軍事対応を取るか、③イランがホルムズ海峡での機雷敷設や艦船拿捕に踏み込むか——この三つが重なったとき、局地戦は文字通りの地域戦争になる。国連安保理は緊急会合を求める動きに入っているが、常任理事国同士の拒否権合戦でまとまる気配はない。とりあえず今週末の原油先物の値動きを見ておくだけでも、事態がどちらへ向かっているか肌感でわかるはずだ。