中国恒大破産の話、「またか」と流してしまうと後悔するかもしれない。今回、米連邦裁判所への破産法適用申請という一手が加わったことで、これは単なる一企業の経営問題を超えた局面に入った。負債総額3000億ドル、日本円で約33兆円。その数字を前に、「中国国内の話でしょ」と片付けるのは難しくなってきている。
チャプター15申請——33兆円の債務を米国法廷に持ち込んだ理由
今回の申請は「チャプター15」と呼ばれる米国破産法の条項に基づくもの。これは外国企業が米国内の資産や債権者との関係を法的に整理・保護するための手続きで、再建交渉に法的な傘を張る狙いがある。
今年1月、香港裁判所が恒大に対して清算命令を下した。あの時点でも「とうとう来た」と思ったが、清算命令が出たからといって即座に全資産が売り飛ばされるわけじゃない。中国本土の資産には香港判決の効力が及びにくく、海外債権者は宙ぶらりんのまま置かれていた。米国での申請は、そうした海外債権者との調整に一定のルールを持ち込もうとする動きとみられる。
「中国恒大集団は米連邦裁判所に破産保護を申請した。3000億ドルを超える負債を抱え経営難に陥っている同社の再建努力に影響を与える可能性がある。」(Reuters)
ただし「保護申請=再建」とはならない。むしろ清算への道筋を整える手続きとして機能する可能性もあり、楽観視はできない情勢だ。
恒大だけじゃない——中国不動産危機、同業大手も崖っぷち
調べると出てくるのが、碧桂園(カントリー・ガーデン)の名前だ。かつて中国最大の住宅デベロッパーだったこの会社も、2023年に債務不履行に陥り、再建協議が続いている。恒大と碧桂園、この2社だけで抱える負債規模は想像を絶する水準で、中国不動産セクター全体の信用が問われる状態が続いている。
中国のGDPに占める不動産業の割合は関連産業を含めると約2割とされる。この数字、日本のバブル崩壊前夜と重なって見える人もいるだろう。ただし規模が違う。人口14億の国の不動産市場が揺らぐときの余波は、1990年代の日本とは別の種類の衝撃を外部にもたらしうる。
海外の機関投資家は恒大発行のドル建て債券を大量に保有していたとされる。米中双方の法廷で清算手続きが進む中、誰がどれだけ損を被るかの綱引きが始まっている。
この先どうなる
米国での手続きが認められれば、海外債権者への弁済スキームが徐々に見えてくるはずだ。ただし中国本土の資産をどこまで清算に充てられるかは、中国当局の判断にかかっていて、ここが最大の不透明要因になる。
一方、碧桂園など他の不動産大手の動向が連動する可能性は否定できない。中国政府は不動産市場の安定化策を打ち出してきたが、今のところ決定打には至っていない。世界の資本市場にとって「対岸の火事」で済むかどうか、しばらく目が離せない状況が続きそうだ。