戦争権限法1973が、半世紀越しに核交渉の舞台に割り込んできた。アメリカ下院は、トランプ大統領がイランとの交渉で持つ軍事行動の権限を制限する決議を可決。驚いたのはその票数じゃなく、共和党から4人が民主党側に回ったという事実だった。

共和党4人造反——何がそこまで動かしたのか

通常、こういった議会の動きは野党主導で進む。ところが今回は身内から切り崩された格好で、トランプ陣営にとっては象徴的なダメージが大きかったはず。

トランプ氏はTruth Socialにこう投稿している。

「昨日、無意味な採決で、4人の悪い共和党員と民主党員全員が、イランとの私の交渉権限を制限することに投票した。」

「悪い共和党員」という言葉の選び方が、怒りの温度をそのまま示している。単に政策論争ではなく、個人への背信として受け取っているらしい。

イラン核協議が佳境に入るタイミングで「脅しの札」を封じる構図

今回の決議が厄介なのは、外交交渉の現場への波及効果だ。イラン核協議 議会という組み合わせで過去を振り返ると、2015年のJCPOA交渉でも立法府の動きが交渉カードに影響を与えた経緯がある。

交渉というのは、使える選択肢が多いほど有利に運べる。大統領 交渉権限 制限が事前に可視化されると、イラン側は「この大統領が軍事的圧力をかけ続けられるのか」という計算を新たにし直すことになる。ホワイトハウスがこれを嫌がるのは当然の話だろう。

そもそも戦争権限法1973は、ベトナム戦争末期に大統領権限の無制限な膨張を抑えるために生まれた法律だった。大統領が議会承認なしに60日以上の軍事行動を続けられないよう縛る仕組みで、当時のニクソン大統領が拒否権を発動したのをオーバーライドして成立している。つまり最初から「大統領vs議会」の緊張関係の中で生まれた法律であり、今もその緊張の上に立っている。

この先どうなる

下院を通過した決議が上院でどう扱われるかが次の焦点になる。仮に上院でも可決されれば、トランプ氏は拒否権を行使する可能性が高い。その場合、オーバーライドに必要な3分の2以上の議席を反対勢力が確保できるかが問われる。現状では難しいとみられているが、造反者が増え続ければ計算は変わってくる。

イラン核協議が大詰めを迎える時期と議会の動きが重なったのが偶然かどうかは、もう少し注視してみる必要がある。どちらにせよ、交渉テーブルの上の地図がまた少し書き換わったのは確かだ。