ニュージーランド議員4人が台湾を訪問したとして、中国から1年間の入国禁止制裁を受けた——数十年間、何の問題もなく続いてきた慣行が、2025年5月、突然「罰則」の対象になった。外務大臣ウィンストン・ピーターズが「驚いた」と公式に認めるほど、前例のない措置だったらしい。
中国大使館が突きつけた「謝罪か、禁止継続か」の二択
入国禁止の対象となったのは、与党連合のモーリーン・パフ、デビッド・ウィルソン、ローラ・マクルアの3議員と、野党労働党のダンカン・ウェッブ議員の計4人。5月に台湾の外務大臣と会談して帰国したところ、中国大使館から禁止措置を通告されたという。大使館は「謝罪があれば解除を検討する」とも伝えており、事実上「政治的服従」を迫った格好だ。
これに対し、ACT党のマクルア議員は毅然とした立場を崩さなかった。「台湾訪問を謝罪するつもりはない」と言い切り、今回の措置を「外国による内政干渉の一形態」と断言。ラジオニュージーランドのインタビューでは「以前から同様の訪問が繰り返されてきたのに、非常に驚いている」とも語った。
「ニュージーランドの国会議員は数十年にわたって台湾を訪問しており、そのような訪問はニュージーランドの一つの中国政策と矛盾しない」(ニュージーランド外務省報道官、BBC経由)
この声明が示すように、ニュージーランド政府は一つの中国政策を堅持しながらも、議員の台湾訪問を「矛盾する行為」とは見なしてこなかった。今回の制裁は、その解釈の「ズレ」を中国側が力づくで修正しようとしたとも読めるんじゃないか。
「同盟国への圧力」として波紋が広がる理由
中国 入国禁止 議員というケースは、オーストラリアや欧州でも散発的に起きているが、ニュージーランドでは初めて。同国は中国にとって最大の農産品輸出先でもあり、経済的に深いつながりがある。その分、外交的なレバレッジも大きく働きやすい環境だった。
外務大臣ピーターズは外務省当局者に対応を指示したとされるが、具体的な対抗措置の内容はまだ明らかになっていない。一方、マクルア議員が口にした「自由民主主義の中で生きるということ」という言葉は、単なる個人の感想以上の重みを持ちそうだ。一つの中国政策 外交圧力という問題は、今やニュージーランド一国の話ではなくなりつつある。
この先どうなる
4議員が謝罪を拒否し続ければ、禁止措置は1年間維持される見通し。ただし、ニュージーランド政府が正式な抗議を行うか、それとも静観するかで、今後の両国関係の温度が変わってくる。外務省は現時点で「驚きを表明した」にとどまっており、強い対抗措置には踏み込んでいない。中国がこのアプローチを他の小国議員にも広げるかどうかが、次の注目点になりそうだ。台湾側も今回の件をどう受け止めるか——外交的な余波は、まだ始まったばかりといったところ。