戦争権限決議が、わずか7票差で米下院を通過した。215対208。共和党から4票が割れた瞬間、トランプ対イランをめぐる議会と大統領府の緊張が一気に表面化した格好だ。

共和4票離反が示した「215対208」の重さ

5月21日(米国時間)、下院は対イラン軍事行動を制限する戦争権限決議を採決にかけた。民主党がほぼ一枚岩で賛成したのは想定内として、注目は共和党内の離反。4票という数字は小さく見えるが、与党内から公式採決で「引け」というシグナルが出たという事実は、数字以上に重い。

タフツ大学で憲法・国際法を教えるマイケル・グレノン教授はこう指摘した。

「下院の過半数が実際の採決によって、米軍をペルシャ湾の敵対行為から撤退させるべきだと記録に残した。議会は事実上こう言っている――」

教授が「政治的影響は無視できない」と言うのはここで、法的拘束力の有無とは別の話としてこの採決を評価している。

トランプが「非愛国的」と怒った理由

採決翌日、トランプ氏はTruth Socialに投稿した。

「昨日、無意味な採決で下院は、4人の悪い共和党員と民主党員全員が、私がイランとの戦争を終わらせる最終交渉の真っ只中に、私の戦争権限を制限しようとした。これほど非愛国的なことをする者がいるとは」

「最終交渉の真っ只中」という言葉が面白い。怒りの裏に「今まさに動いている」という自信も透けて見える。ホワイトハウスは今回の決議を「違憲」と断じており、法的に無効という立場を崩していない。

実際、この決議が現実の拘束力を持つには、上院通過と大統領署名という二つの壁がある。上院で共和党が多数を占める現状、法案が成立に至る可能性は低い。トランプ氏が「meaningless(無意味)」と切り捨てたのは、そのシナリオを見越してのことだろう。

この先どうなる

イランとの核交渉が佳境を迎えるなかで、今回の採決がどう作用するかは読みにくい。法的には封じられても、「下院の過半数が反対票を記録した」という事実はイラン側の交渉カードになり得るし、米国内世論にも少なからず響く。トランプ対イランの軍事行動をめぐる戦争権限決議の行方は、次の交渉ラウンドと上院の出方がセットで見えてから判断すべき局面。7票差の採決が歴史の転換点だったかどうかは、もう少し先にならないとわからない。