米イラン核協議が、まさかレバノンの戦場に足を引っ張られる展開になっていた。Bloombergが6月4日に報じたところによると、ヒズボラが停戦を拒否したことでイランは「レバノン問題が動かない限り核交渉も動かない」という姿勢を崩しておらず、米・イランの直接協議は完全に止まっているという。
ヒズボラが持つ「拒否権」、交渉テーブルを丸ごと人質に
調べてみると、この停滞が単なる外交儀礼上の遅延ではないことが見えてくる。トランプ政権はイランとの直接対話に前のめりの姿勢を見せていたが、イスラエルとヒズボラという第三者の動向が交渉全体のペースを握る構図になっている。
イランにとってヒズボラは代理勢力であり、レバノン戦線での劣勢や停戦受け入れは自らの地域影響力の後退を意味する。だから簡単に「核交渉を優先する」とは言えないらしい。一方でイスラエルは、核合意が成立することへの強い警戒感を持ち続けている。Bloombergのサイトには「イスラエルはイランとの戦争の終わらせ方に関与できない」という見出しも並んでおり、米国・イラン・イスラエル・ヒズボラが四つ巴で動いている現状が浮かぶ。
「ヒズボラが停戦を拒否したことで、米・イラン協議の進展が完全に停滞している」(Bloomberg、2026年6月4日)
ここが引っかかった点でもある。米国はイランと直接向き合いたいのに、その「直接」の範囲に収まらない変数が多すぎる。
ホルムズ海峡20%、数字で見えてくる原油リスク
エネルギー市場への波及も無視できないレベルになってきた。ホルムズ海峡を経由する原油は世界輸送量の約20%にあたる。核合意が遠のけば対イラン制裁は継続され、イランの石油輸出は再び絞られる。
ホルムズ海峡原油の供給が詰まるシナリオが現実味を持つのは、緊張が高まるたびに「封鎖カード」がちらつくからだ。実際、Bloombergのページには「Hormuz Chaos」というタグが立っており、市場関係者が航路リスクを本格的に織り込みはじめている様子が読み取れる。制裁維持+緊張継続のまま長期化すれば、次の価格急騰の引き金として機能しかねない水準にある。
この先どうなる
最大の焦点は、ヒズボラとイスラエルの戦闘が何らかの形で落ち着くかどうかだろう。そこが動かない限りイランは交渉テーブルに戻る理由を持ちにくく、米イラン核協議の再始動も見通しが立たない。制裁が続く期間が延びるほど、ホルムズ海峡を巡るリスクプレミアムも抜けにくくなる。秋の原油需要期に入るタイミングで交渉が動くかどうか、エネルギー市場はそこを見ているんじゃないかと思う。