ハマス停戦受諾――その一報がAP通信から流れたのは、交渉が完全に止まっていたとされるタイミングだった。エジプトとカタールが仲介したこの提案をハマス側が受け入れたと報じられたが、イスラエルは「内容を精査する」と述べるにとどめ、即座に首を縦に振ったわけじゃない。両者の間にある溝が、この一言の重さに滲んでいる。

エジプト・カタール仲介案、何が変わったのか

今回の動きで目を引いたのは、米国ではなくエジプトとカタールが再び仲裁の中心に立ったという点だった。米国主導の枠組みはここ数カ月、目立った成果を出せていなかった。その間隙を埋めるように、カイロとドーハが動いた格好だ。

エジプトはガザとの国境を持ち、物資搬入のルートを握っている。カタールはハマスの政治部門と長年のパイプを維持してきた。この二国が組んで提案をまとめた背景には、「このまま放置すれば地域全体が不安定化する」という切迫感があったと見られている。

「ハマス当局者は、同グループがガザに関するエジプト・カタール停戦提案を受諾したと述べた。イスラエルは提案を精査すると表明した。」(AP通信)

ただ、過去の経緯を振り返ると楽観できない。2023年11月の一時停戦は1週間足らずで崩れ、その後も複数回にわたって交渉の「合意間近」報道が出ては立ち消えを繰り返してきた。今回も同じ轍を踏む可能性はゼロじゃない。

200万人のガザ、停戦が成立すれば何が動く

国連の推計によれば、ガザでは200万人を超える住民が食料・医療の深刻な不足下に置かれているとされる。停戦が成立した場合、最初に動くのは人道支援物資の搬入と人質解放の交渉だろう。この二つはセットで語られることが多いが、実際には優先順位をめぐってイスラエルとハマスの主張がぶつかりやすい部分でもある。

イスラエル側は依然として、ガザ北部への恒久的な部隊配置の維持とハマスの武装解除を条件として譲らないとされてきた。ハマス側はイスラエルの完全撤退と戦争終結の確約を求めてきた。エジプト・カタール案がこの溝をどう埋めようとしているのか、その詳細はまだ明らかになっていない。イスラエルが審査を経て「受け入れられない」と判断すれば、交渉は再び振り出しに戻る。

この先どうなる

イスラエル政府の審査がどれくらいの時間をかけて行われるか、まずそこが焦点になりそうだ。ネタニヤフ政権内では強硬派閣僚が停戦に反対する声を上げており、合意が成立したとしても連立維持との綱引きが起きる可能性がある。一方のハマスも、受諾を表明しながら実際の履行段階で条件を追加してきたケースが過去にあった。エジプト・カタール仲介という枠組みは機能し始めたかもしれないが、この先の交渉が一筋縄でいかないのは過去が証明している。ガザの人道危機は今この瞬間も続いている。次の72時間、動向を見逃さないほうがいい。