カール・ローブへの解雇要求を、トランプが自ら公開の場に叩きつけた。Truth Socialへの投稿は短くて鋭い。「Fox Newsはだらしないリノのカール・ローブを追い出すべきだ」——ブッシュ政権の元首席戦略家を名指しした一文が、米保守メディアを揺らしている。
「11年間ずっと外れ続けた」とトランプが断言
カール・ローブはブッシュ政権(2001〜2009年)で「首席戦略家」「大統領の頭脳」と称された共和党の重鎮だった。2010年代以降はFox Newsの政治コメンテーターとして定着し、選挙分析や共和党戦略を語る常連顔でもある。
ところがトランプ側から見れば、ローブはずっと「敵」に近い存在だったらしい。2012年の大統領選ではロムニー支持、2016年はトランプ台頭に懐疑的、2020年選挙後もトランプの不正選挙主張に距離を置いた。蓄積してきた不満が今回の投稿に結晶した形で、「11年間」という数字はそのまま2016年の出馬表明前後からのカウントと重なる。
「Fox Newsはだらしないリノ(共和党名ばかり)のカール・ローブを追い出すべきだ。彼はもう11年間、私とMAGAを間違い続けている」――Donald J. Trump(Truth Social)
RINO(Republican In Name Only)というレッテルは、トランプが気に食わない共和党員に繰り返し貼るラベルだが、今回の相手はメディアの顔でもある。単なる政治家攻撃ではなく、「誰を画面に映すか」という編成判断にまで踏み込んだ圧力になっている点が、過去の発言とは少し重さが違う。
Fox Newsにとって「無視」と「従う」の間にある地雷
Fox Newsはトランプ支持層に強く依存するビジネスモデルを持ちながら、一方で独自の取材・論評機能も維持しようとしてきた。2020年の選挙夜にアリゾナ州の「バイデン勝利」を他局に先駆けて報道したとき、トランプ陣営との関係が一気に悪化した経緯がある。その後も一進一退が続いている。
ローブほどの経歴と知名度を持つコメンテーターを外圧で降板させれば、編集独立性への批判は避けられない。一方で無視を続けることで、視聴者の間に「Fox Newsはまだトランプの味方じゃない」という印象が広がる可能性もある。どちらを選んでもコストがある、という局面だろう。
Fox Newsはこの投稿への公式コメントをまだ出していないようで、沈黙自体がひとつの判断とも読める。メディア圧力の行方は、ローブが次回の出演を続けるかどうかという具体的な形で可視化されることになりそうだ。
この先どうなる
トランプがFox Newsの人事に口を出したのはこれが初めてではなく、過去にもポール・ライアン(元下院議長、Fox Corp取締役)の影響力への不満を公言している。今回の要求が通るかどうかより、こういう投稿を繰り返すこと自体が視聴者や広告主への「シグナル」として機能しているとも言えそうだ。Fox Newsが沈黙を保つほど、トランプ側の発信だけが議題を支配する構図になる。ローブが画面に残り続けるか、それとも静かに出演頻度が減っていくか——数週間の動向がひとつの答えを出す。