SPEF 2025の開幕日に合わせたかのように、ウクライナのドローン部隊がサンクトペテルブルク一帯を夜間攻撃した。ロシア当局が「59機撃墜」を発表した一方、市内3区に着弾が確認され、夜明けとともに黒煙が第二の都市の空を覆った。130カ国から数千人の投資家・外交官が集まる経済フォーラムの初日、これ以上ないタイミングを突かれた格好だ。

クロンシュタット海軍基地で炎上、バルト艦隊の主要拠点が標的に

今回の攻撃で特に注目されるのが、サンクトペテルブルク近郊クロンシュタットへの攻撃だ。ゼレンスキー大統領がSNSで直接確認した内容によれば、石油ターミナルとともにバルト艦隊の主要拠点である海軍基地が標的になったという。ウクライナ軍関係者がSNSに投稿した未確認映像には、停泊中の軍艦に向かうドローンの映像も含まれていたとBBCは報じている。

「ウクライナの長距離制裁計画は、平和を近づけるために必要な形で着実に実施されている」――ゼレンスキー大統領、SNS投稿より

「長距離制裁」はゼレンスキー政権が使う遠距離攻撃の婉曲表現で、近ごろ頻繁に登場するようになっている。クロンシュタットはバルト艦隊の主力が駐留する軍事上の要衝であり、通常のエネルギーインフラ攻撃とは意味合いが違ってくる。

プルコヴォ空港が閉鎖、ラトビア・エストニアにも警報――波及した59機の夜

攻撃の影響はロシア国内にとどまらなかった。サンクトペテルブルクのプルコヴォ空港は一時閉鎖を余儀なくされ、市内ではモバイルインターネットが断絶。隣国のラトビアとエストニアにまで空襲警報が発令されたのは、飛行コースが近隣NATO加盟国の防空識別圏に接近したためとみられる。

クレムリンのペスコフ報道官はこの攻撃を受けて「我々の反撃は体系的な性質を持つ」と述べ、報復を示唆した。ただ、具体的な時期や規模には触れなかった。SPEF 2025に出席している低姿勢の米国代表団含め、外国ゲストが滞在中の都市でこの発言がどう受け取られたか――なかなか皮肉な状況ではある。

この先どうなる

ウクライナ側がクロンシュタットへのウクライナ長距離ドローン攻撃を今後も継続するなら、バルト海の海上戦力バランスに影響が及ぶ可能性がある。一方、SPEF 2025に集まった外国投資家への心理的影響は無視できない。「ロシアは安全なビジネス環境だ」というプーチン政権の演出が、炎上する海軍基地の映像と並んで世界に配信される展開は、クレムリンが最も避けたかった絵図だったはずだ。ペスコフが予告した「体系的な反撃」がどんな形を取るかに、当面は注目が集まりそうだ。