トランプ・ネタニヤフ電話の内容を、トランプ本人がうっかり(?)自分の口で認めてしまった。「effing crazy(イカれてる)と言ったか」と記者に問われ、「そうだ」とあっさり。しかもその一言が、数週間かけて積み上げてきた米イラン核外交を一瞬で揺るがしかねない状況を招いている。
レバノン空爆1発で吹き飛んだ交渉テーブル
事の発端は、イスラエルがレバノンへの空爆を継続したことにある。ワシントンはこの時期、イランとの間で核合意に向けた水面下の協議を進めていた。そこにイスラエルの軍事行動が割り込んだ格好で、テヘランは即座に反応した。
BBCの報道によれば、イランは米国との協議を停止する可能性を示唆。これは単なる外交上の言葉ではなく、ホルムズ海峡をめぐる緊張の再燃とセットで語られている点が気になるところだった。
「そうだ。怒っていたとは言わない。ただ、レバノンとの絶え間ない戦闘には少々苛立っていた」――トランプ大統領、Pod Force One ポッドキャストにて
世界の原油輸送量の約20%が通過するホルムズ海峡が封鎖されれば、エネルギー市場への波紋は計り知れない。米イラン核交渉がここで止まれば、トランプが目指す「イランとの戦争回避」シナリオ自体が白紙に戻りかねない。
ビビとの「家族喧嘩」で済まない理由
トランプは「ビビのことは好きだ、よく連携している」とフォローしつつも、苛立ちは隠せなかった。ネタニヤフ首相の側は「最高の家族でも時には意見が分かれる」とにこやかにかわしている。
ただ、ネタニヤフが歴代の米大統領と何度もぶつかり、そのたびに政治的に生き残ってきた実績を考えると、今回も「嵐が過ぎるのを待つ」戦術をとっている可能性が高い。問題は、その嵐の余波がホルムズ海峡封鎖リスクという形で原油市場にまで飛び火しているところだろう。
米イラン核交渉の停滞は、イスラエルにとって長期的には有利に働く面もある。イランの核開発が続けば、再び軍事行動の「大義」が生まれるからだ。そう考えると、今回のレバノン空爆のタイミングが偶然だったとは少し思いにくい。
この先どうなる
最大の焦点は、イランが本当に米国との協議テーブルを離れるかどうか。テヘランが「停止の可能性」を示唆しながらも完全に席を立っていない点は、まだ交渉の余地が残っているサインとも読める。トランプ政権としては、イスラエルへの圧力を見せつつ、イランを対話に引き留めるという綱渡りを続けるしかない局面だ。
ホルムズ海峡封鎖リスクが現実化するか否かは、今後数週間のイランの出方次第。原油先物市場はまだ大きく動いていないが、外交の失敗が確定した瞬間に一気に動く可能性を市場参加者は静かに織り込み始めているらしい。次の「effing crazy」な一手が出る前に、何かが動くかもしれない。