米下院イラン戦争決議が215対208、わずか7票差で可決された。共和党から4人が造反した日——それは、2月の開戦以来ずっと沈黙を守ってきた与党内に、初めて目に見えるひびが入った瞬間でもあった。

共和4人が造反——マッシー、フィッツパトリック、バレット、デイビッドソンの名前

今回の採決で民主党に合流したのは、トーマス・マッシー、ブライアン・フィッツパトリック、トム・バレット、ウォーレン・デイビッドソンの4議員。いずれも党内で「リバタリアン寄り」「穏健派」と見られてきた面々で、単純な反トランプ票とは少し違う。議会の戦争権限を取り戻すべきだという、憲法論的な問題意識が根っこにある、と見た方が近いだろう。民主党側では、以前は同種の決議に反対票を投じていたメーン州のジャレッド・ゴールデンが今回賛成に回ったことも小さくない変化だった。

「これは下院がトランプの戦争権限を抑制しようとした4度目の試みであり、批判者は議会承認なしと訴えている」(BBC News)

4度目、という数字が重い。同じ試みが何度繰り返されても通過しない現実がある一方で、今回初めて共和党票が動いた。その意味では、同じ「4度目」でも質が変わったとも言えるかもしれない。

215票が持つ本当の重さ——拒否権と3分の2の壁

この決議、次は共和党が多数を握る上院での再承認が必要になる。5月に上院が可決した類似の決議があるため前例はあるものの、今回の下院版を改めて上院が取り上げる保証はない。仮に上院を通過しても、トランプが拒否権を行使すれば終わり——それを覆すには上下両院それぞれで3分の2の賛成が要る。今の議席配分でそこに届く可能性は、正直低い。

一方でトランプは採決前日、「交渉は非常にうまくいっており、今週末にも決着するかもしれない」と発言していた。議会の牽制と並行して、外交チャンネルは動き続けているらしい。停戦合意が成立しているにもかかわらず、米イランが互いに攻撃を続けているこの状況は、BBCが「法的根拠なき戦争継続への問い」と表現するほど異例の事態になっている。トランプ戦争権限の問題は、今や米国内だけでなく国際法の文脈でも問われ始めた。
クウェートの空港でイランのドローン攻撃によって1人が死亡し数十人が負傷した報道も重なり、地域全体の緊張はじわりと高まっている。

この先どうなる

最も注目すべきは「今週末」という言葉だろう。トランプが交渉決着を示唆したタイミングで、議会が制動決議を通した——この2つが同時進行している状況は、合意が成立すれば決議自体が宙に浮き、逆に交渉が決裂すれば議会の圧力が一気に意味を持ち始める、という綱渡りを意味する。上院が今回の下院版を取り上げるか否か、そして週末に何らかの合意が出るか否か。この2点が、米イラン戦争の次のフェーズを決める分岐点になりそうだ。共和党造反票がじわじわと増えていく流れが続くかどうかも、引き続き見ておく価値はある。