米CPI再加速——その2文字が、2025年の金融市場の前提をひっくり返した。3月の消費者物価指数が再び上向いたことで、FEDが近く利下げに踏み切る絵は、少なくとも今は描きにくくなっている。
年内「2回」から「0回」へ、3月のCPIが叩き壊した市場シナリオ
年明けの市場コンセンサスは「2〜3回の利下げ」だった。それがあっさり崩れた。3月のCPIが予想を上回る伸びを示したことで、エコノミストの一部は2025年中の利下げをゼロと見始めているらしい。
FEDにとってこれは単なる「想定外」じゃない。インフレとの戦いが終わっていないことを、データが改めて突きつけた格好だ。パウエル議長が繰り返してきた「データ次第」という言葉の重みが、ここへきて増している。
「米国の消費者物価は3月に再加速し、連邦準備制度にとって痛手となった。この結果、中央銀行が近い将来に利下げを実施する可能性は低くなった。」(AP通信)
FED利下げ先送りが確定的になれば、高金利の長期化が続く。米国内では住宅ローン・自動車ローンの重荷が家計に乗り続け、中小企業の借り入れコストは高止まりのまま。消費が鈍れば景気後退リスクとインフレが同居する「スタグフレーション型の悪夢」も、ゼロとは言えなくなってくる。
ドル高が波及する先——円安、新興国債務、欧州のドル調達コスト
問題は米国の台所事情だけで収まらないところにある。FED利下げが遠のくほど、ドルは底堅く推移しやすい。その影響はじわりと世界へ広がっていく。
日本の家計が直面するのは輸入物価の高止まり。円安が継続すれば、エネルギーや食料品の値上がりが家計を圧迫し続ける。日銀が慎重に進めてきた政策正常化にも、為替という余計な変数が加わる。
新興国はもっと深刻かもしれない。ドル建て債務を抱える国は、通貨安と利払い増のダブルパンチを受ける。インフレ2025が長引くほど、脆弱な国ほど財政への圧力が強まっていく。欧州企業のドル調達コストも上昇し、グローバルサプライチェーンを組む企業の収益見通しは不透明になってきた。
この先どうなる
次の焦点は4月・5月のCPIと雇用統計。インフレが再び鈍化に転じれば利下げ観測は戻ってくるが、今の数字は「そう簡単には冷えない」と語っているようにも見える。
FEDが動けない間、市場は「高金利の長期化」を前提に価格を作り直していくだろう。株式・債券・為替のどこにも「FEDが助けてくれる」という安全網は、当面期待しにくい。米CPI再加速がもたらした波紋は、2025年後半の世界経済の行方を左右する分水嶺になりそうだ。
