コロンビア大統領選で、世論調査が外れた。5月25日の第一回投票、左派セペダ優勢という下馬評を覆し、右派のアベラルド・デ・ラ・エスプリエリャが43.7%を獲得して首位に立った。現職ペトロ大統領の盟友・イバン・セペダは41%で僅差の2位。過半数に届いた候補はおらず、6月21日に決選投票が行われる。

デ・ラ・エスプリエリャとセペダ、何がそんなに違うのか

二人の対立軸は明快で、半世紀以上続くコロンビアの武装紛争をどう終わらせるかという一点に集約される。

デ・ラ・エスプリエリャはトランプ政権への親近感を公言する右派弁護士。反左派・秩序重視の姿勢を前面に打ち出し、投票後には「国家のおっぱいで生きたことのない者たちの勝利だ」と支持者へ向けて宣言した。かたやセペダは人権問題を長年追ってきた左派上院議員で、ペトロ路線の継承を訴えてきた陣営だ。

注目は3位で終わった保守系候補パロマ・バレンシア(得票率7%未満)が即座にデ・ラ・エスプリエリャへの支持を表明したこと。右派票の結集という構図が、決選投票前から動き始めている。

「トランプを支持する右翼のアベラルド・デ・ラ・エスプリエリャが首位に立ち、現大統領グスタボ・ペトロの盟友である左派上院議員イバン・セペダが僅差で続いた。」(BBC News)

一方、ペトロ大統領はセペダへの支持を表明しつつ「開票結果を受け入れない」とも示唆する声明を出した。決選投票前に早くも緊張感が漂い始めた格好だ。

トランプ政権との関係、コロンビアが問われる外交の賭け

この選挙が単なる国内問題でないのは、米コロンビア関係の現状を見れば分かる。トランプ政権はコロンビアに対し移民送還問題などを巡って制裁圧力をかけており、両国の関係は緊張した状態が続く。

デ・ラ・エスプリエリャが勝利すれば、その関係が一気に融和へ向かう可能性があるし、セペダが逆転すれば対米対立路線の継続が予想される。資源大国コロンビアの政策転換は、中南米全体のパワーバランスにも波紋を広げるとみられている。

選挙戦中にはドローン攻撃、誘拐、さらには候補者の暗殺事件まで起きた。政治の話をするだけで命の危険があるという現実は、コロンビアの紛争問題が依然として生々しいことを示している。

この先どうなる

6月21日の決選投票に向けて、焦点は二つ。一つは右派票が本当にデ・ラ・エスプリエリャに結集するかどうか。もう一つは、セペダ陣営が第一回の「負け越し」をどう挽回するかだ。

世論調査が大きく外れた今回の第一回投票を踏まえると、決選投票の結果も予断を許さない。右派政権が誕生すればトランプとの関係改善が優先課題となり、左派が逆転すれば中南米での反米連帯路線が強まるシナリオが想定される。どちらに転ぶにせよ、資源大国コロンビアの選択は向こう数年の中南米情勢を左右しそうだ。