イラン米国交渉停止——その一報だけで、S&P500先物は急騰から膠着へと一転した。ブルームバーグが伝えたのは「イランが米国へのメッセージ送信を停止した」という短い事実。それだけで市場の空気が変わったのだから、いかに核交渉の行方に神経を尖らせていたかが分かる。

S&P500先物が示した「希望と失望」の30分

この日、先物市場はまず上昇した。米イラン間の核合意に向けた交渉が続いているとの期待感が買いを呼んだ形だった。ところがイランが連絡を絶ったとの情報が入ると、買いは引いて値動きは方向感を失った。

「イランが米国へのメッセージ送信を停止しているとの報道を受け、米国株は小動きとなった」(Bloomberg)

原油価格も似た動きで、一時上昇に転じたが続かなかった。停戦期待と開戦リスクが綱引きしているので、どちらに張っても吹き返しを食らう状況らしい。

ホルムズ海峡、世界原油の2割が通る「細い水路」

改めて地図を見ると、ホルムズ海峡の幅は最も狭い部分で約50キロメートル。ここを世界の原油輸送量の約2割が通り抜けている。イランがこの水路を意識した行動に出れば、欧州やアジアのエネルギー調達コストに直接跳ね返る。

S&P500先物核交渉の連動という構図は今に始まった話ではないが、交渉が止まるだけで先物が反応するという事実は、市場がすでにシナリオの変化を織り込みにかかっていることを示している。欧州・アジアにとってはホルムズ海峡原油リスクの上昇はインフレ再燃に直結するだけに、神経質な値動きが続くのも納得できる。

ただ、「メッセージ停止=交渉破綻」かどうかはまだ不透明だった。外交の沈黙が戦術的な駆け引きで終わるケースもあれば、そのまま膠着が固定化するケースもある。今の段階では判断材料が少なすぎて、確定的なことは言えない、というのが正直なところ。

この先どうなる

焦点は、イランが沈黙を破るかどうか、そしてその時に何を伝えるか。次の48〜72時間でメッセージが再開されれば市場は安堵感から上昇する可能性が高い。反対に沈黙が長引けば、原油価格が再度上昇を試す展開になりそうだ。イラン米国交渉停止が一時的なジェスチャーにとどまるのか、それとも外交の扉が本当に閉じ始めているのか——週明けの動向を見るまで、先物も原油も結論を出せないでいる。