日本向けアルミプレミアムが、ついに過去最高値を更新した。リオ・ティントとサウス32が2026年第3四半期分の供給価格として日本の主要顧客に提示した数字は、世界の非鉄金属市場で「基準値」とされるこの指標の記録を塗り替えるものだった。ブルームバーグが5月29日に報じている。
ロシア産締め出し+ギニア規制——二つの供給ショックが同時に来た
今回の価格更新を読み解くには、供給側で起きている二つの異変を押さえておく必要がある。
一つ目はロシア産アルミの事実上の市場退場。ウクライナ侵攻への制裁が長期化する中、欧米の主要顧客はロシア産の調達を回避し続けており、その穴を埋める動きが市場全体の需給を引き締めてきた。
二つ目がギニアのボーキサイト輸出規制。ボーキサイトはアルミの原料で、ギニアは世界最大級の産出国。ここからの供給が絞られると、精錬コストが川上から押し上げられる構図になる。この二つが同時に効いているのが今の状況らしい。
「Rio Tinto Group and South32 Ltd. have offered Japanese clients third-quarter aluminum supply at record premium prices.」(Bloomberg、2026年5月29日)
日本向けの「プレミアム」とは、ロンドン金属取引所(LME)の基準価格に上乗せする加工・輸送コスト相当の料金のこと。この数字が世界の指標として機能するのは、日本が世界有数のアルミ輸入国であり、交渉結果がアジア全域の取引の参照点になるからだ。リオ・ティント供給価格の動向が他国の価格設定にも連鎖する仕組みになっている。
自動車・半導体・航空機——コスト転嫁はどこまで波及するか
アルミの用途は広い。自動車のボディパネル、半導体製造装置のフレーム、航空機の機体——どれもアルミなしには成立しない素材だ。プレミアムが史上最高に跳ね上がれば、そのコストは製造業の各段階に染み込んでいく。
日本の場合、円安が続く局面での輸入価格上昇は二重に効く。ドル建てで値上がりしたアルミを、目減りした円で買い続けることになるからだ。ロシアアルミ制裁影響が製造業の現場コストとして可視化されてくるのは、これから数四半期かけてじわじわ、という感じになりそう。
輸出競争力に敏感な自動車メーカーがどこまでを製品価格に転嫁し、どこまでを内部で吸収するか——その判断が、国内の消費者価格にも遅れて影響してくる可能性がある。
この先どうなる
ウクライナ情勢が短期で収束する兆しは薄く、ロシア産アルミの市場復帰シナリオは当面描きにくい。ギニアの輸出規制も緩和の見通しが立っていないとすれば、日本向けアルミプレミアムの高止まりは2026年内は続くと見るのが自然な読みだろう。
一方で、インドネシアやオーストラリアが増産に動く可能性はある。代替調達先の多様化が進めば、数四半期後には需給の圧力が和らぐ局面も来るかもしれない。ただ今のところ、製造業各社の購買担当者にとっては頭の痛い数字が続く見通し——それだけははっきりしている。