voter integrityを掲げるトランプ政権の選挙令に、連邦判事が「合憲」のお墨付きを与えた——トランプ本人がTruth Socialに投稿し、この情報が広がっている。有権者登録時に米国市民権の証明書類提出を義務付け、郵便投票を大幅に制限する内容で、民主党が「組織的な投票抑圧」として訴えていた案件だ。その訴えが今回、司法に退けられた形になる。

郵便投票46%が消える? 2020年との比較で見えてきた数字

調べて引っかかったのは、やはりこの数字だった。2020年大統領選において、郵便投票は全投票の約46%を占めていた。コロナ禍という特殊事情があったとはいえ、これだけ定着した投票手段が規制の対象になれば、影響は小手先の話では済まない。

今回の命令が求めているのは各州への規制適用。州によって制度設計にバラつきがある中で、連邦レベルの基準を押し付ける形になるため、実務上の混乱も相当なものになりそうだ。市民権確認の書類を持っていない有権者——低所得層や移民コミュニティに多い——が実質的に登録から弾かれるケースも出てくるんじゃないかという懸念は、民主党側が繰り返し指摘していた点でもある。

「判事がトランプの有権者市民権確認および郵便投票規制を承認し、民主党を退けた」(ソース原文)

トランプ陣営は「選挙の完全性が守られた歴史的勝利」と歓迎の意を示したと伝えられている。支持層には刺さるメッセージだろう。一方で、今回の司法判断が最終決定とは限らない。控訴審へと戦場が移れば、展開は変わる可能性もある。

民主党が「投票抑圧」と呼ぶ理由、共和党が「完全性」と呼ぶ理由

この一件で鮮明になったのは、同じ選挙制度改革を双方がまったく違う言葉で説明しているという事実だ。共和党側は「不正のない選挙を守る」という文脈で市民権確認を正当化する。民主党側は「投票できる人を減らすことで選挙結果を操作している」と読む。

郵便投票規制と市民権確認の義務化は、どちらも「手続きの厳格化」という形を取りながら、誰が実際に投票できるかを左右する制度設計の問題でもある。こうした郵便投票規制の議論は今後の選挙サイクルで繰り返し焦点になっていくことが予想される。

この先どうなる

今回の連邦判事の判断は、あくまで一審レベルの司法判断に過ぎない。民主党や支持団体が控訴に動けば、上訴審・場合によっては最高裁までもつれる展開も十分ありえる。市民権確認の義務化については、必要書類を持てない有権者層への影響を巡る追加訴訟も予想されるところ。

次の大統領選を見据えれば、各州がこの規制にどこまで従うか——あるいはどう抵抗するか——が実質的な焦点になってくる。選挙制度の根幹に関わる話が司法と立法と行政の三者をぐるぐると巡る局面、しばらく目が離せない。