Blue Origin爆発のニュースが入ってきたのは、木曜の夜。フロリダ州ケープカナベラルの発射台で、ジェフ・ベゾスが2000年に設立した宇宙企業のニューグレン・ロケットが、ホットファイアテスト(エンジン燃焼試験)の最中に爆発した。「全員の安全が確認されました」という一文が公式声明のほぼすべてで、原因についての言及はない。

ニューグレン、スペースXのファルコン9に挑んで何が起きたか

ニューグレン・ロケットは、Blue Originがここ数年で最も力を入れてきた機体だった。スペースXのファルコン9が商業打ち上げ市場を席巻するなか、再利用型の大型ロケットとして対抗馬に育てようとしてきた経緯がある。

今回の事故が起きたのは、発射ではなく「ホットファイアテスト」と呼ばれる地上燃焼試験の段階。ロケットを発射台に固定したまま実際にエンジンを点火し、推力や燃焼特性を確認する工程で、打ち上げ前の最後の関門の一つでもある。ここで異常事態が発生したということは、スケジュールへの影響は小さくないはずだ。

Blue Originが発表した声明はこう述べるにとどまった。

「全員の安全が確認されました。詳細が判明次第、随時お知らせします」

負傷者ゼロというのは不幸中の幸いだが、現時点では原因についての公式見解は出ていない。

ベゾスとマスク、宇宙競争の「差」が再び浮かんだ夜

ここで気になるのが、Blue Originのここ数年の足取りだ。スペースXが民間宇宙輸送の主軸として確固たる地位を固めるなか、Blue Originは有人宇宙飛行では先行しつつも、商業打ち上げ市場では後れを取ってきた。ニューグレンはその巻き返しのための切り札的な存在だっただけに、今回の爆発が持つ意味は単なる技術的なトラブルにとどまらない。

宇宙開発において試験中の爆発は珍しくない。スペースX自身も初期段階に何度も爆発を経験し、そのデータを積み上げて成長してきた歴史がある。ただ、ケープカナベラルでのニューグレン試験失敗というニュースが持つインパクトは、タイミングと文脈によって増幅されがちだ。

この先どうなる

直近の焦点は二つ。一つは原因究明の速度——Blue Originがどれだけ早く「異常の正体」を公表できるか。透明性の高さが今後の信頼回復につながる。もう一つは打ち上げスケジュールの修正幅で、商業顧客や政府機関との契約への影響が出れば、ニューグレンの競争力そのものが問われることになる。宇宙産業全体でロケット供給の逼迫が続くなか、Blue Originがこの局面をどう乗り越えるか——それが問われる局面に入った。