グアテマラ米軍共同作戦への合意が明らかになったのは、トランプ政権がコロンビアに関税を突きつけてから数週間後のことだった。麻薬組織の掃討という旗印は同じ。ただ今回は、米軍がグアテマラ領内に「共同で」踏み込む権限を実質的に手にした点が違う。
エルサルバドル、コロンビア……グアテマラで「3例目」が揃った
トランプ政権のラテンアメリカ戦略を振り返ると、一つのパターンが見えてくる。まずエルサルバドルのブケレ大統領と組んで治安作戦で連携し、次にコロンビアへ関税をちらつかせて強制送還に応じさせた。そして今度はグアテマラだ。
三つ並べると「麻薬対策」という共通のラベルが貼られているけれど、各国に求めているのは要するに自国の領土で米軍が動く権限を認めること。手法が「合意」というのがくせもので、表向きは主権侵害にならない。
「この合意はトランプ政権がラテンアメリカ諸国に対し、自国領内での共同作戦に同意するよう圧力をかける、より広範な取り組みの一環だと報じられた。」(The New York Times)
この一文が核心をついている。個別の合意に見せかけているが、仕組みとして設計されているわけだ。
「同意した」という事実が次の国を縛る
グアテマラの合意が特に厄介なのは、先例になる点だろう。隣国ホンジュラスが同様の圧力を受けたとき、「グアテマラはもう認めた」という外交カードが相手の手に渡る。拒否のコストが上がる。
トランプ中米政策の文脈で見れば、これは20世紀の露骨な軍事介入とは形が違う。条約でも占領でもなく「二国間の治安協力」として記録される。だから国際社会が反応しにくい。メキシコへの波及となれば、麻薬組織越境攻撃の舞台は一気にスケールアップする。
域内で最も国力があるメキシコが同様の合意に応じるかどうかは別として、断り続けるための外交コストも積み上がっていく構図だ。
この先どうなる
当面の焦点はホンジュラスとメキシコへの圧力がどう展開するか、それと国際人権団体や野党が「同意の実態」をどこまで掘り起こせるかにかかってくる。グアテマラ国内でも議会や市民社会の反応はこれから出てくるはずで、合意の中身——どこまでの越境が認められているのか——が開示されるかどうかが最初の分岐点になりそうだ。「同意した」という既成事実が積み重なる前に、各国の議会審議が追いつけるかどうか。静かに速い話だと思う。