ホルムズ海峡再開に向けた枠組みが、いま水面下で形づくられつつあるらしい。世界の原油輸送量の約20%が通過するこの海峡をめぐり、米当局者が「合意に迫りつつある」と明言したとニューヨーク・タイムズが報じた。ただ、最終的な決定権を握るトランプ大統領はまだ署名していない。草案は草案のまま、72時間という時計が動き始めている。

枠組みの核心——停戦延長と核交渉、二つの歯車

今回の枠組みが狙うのは、大きく二点に絞られる。一つは現行停戦の延長。もう一つは、濃縮ウランの処遇を含む本格的な核交渉の再起動だ。

後者がやっかいで、イランが濃縮ウランをどこまで譲れるか、そこに交渉全体の重心がかかっている。過去の核合意(JCPOA)が崩れた経緯を振り返ると、ウラン濃縮の上限をめぐる攻防が最後まで残った難題だった。今回も同じ地雷が埋まっている格好だ。

「トランプ大統領はいまだこの新興枠組みに署名していない。しかしそれは停戦延長と、より実質的な交渉への土台となりうる」——米当局者(ニューヨーク・タイムズ報道より)

トランプ政権としては、署名前に最大限の譲歩を引き出したい。イランとしては、署名なき枠組みに乗るリスクを嫌う。このチキンレースが、残り72時間の交渉の実態じゃないか、と現地の報道を読んでいて引っかかった。

海峡が止まれば、アジアのエネルギー価格は即日動く

ホルムズ海峡の封鎖が長引いた場合、最も打撃を受けるのはアジア向けのLNGと原油だ。日本・韓国・中国はいずれもホルムズ経由の輸入依存度が高く、スポット価格は封鎖継続のニュース一本で急騰する構造になっている。

イラン停戦延長が合意されれば、短期的には原油先物の下押し要因になりうる。逆に交渉が決裂すれば、トランプ核枠組みの失敗として市場に受け取られ、地政学プレミアムが一気に乗ってくるだろう。エネルギー市場は今、この枠組みのシグナルを待っている状態だった。

この先どうなる

米当局者が「72時間」と期限を区切って発言したのは、交渉を急かすためのプレッシャーでもあるし、国内向けの成果演出でもある。トランプ大統領が署名に動く条件は、イランが濃縮ウランで具体的な数字を出してくること、それに尽きるとみられる。

枠組みが合意に達すれば、ホルムズ海峡再開のプロセスが正式に動き出し、原油・LNG価格の安定材料になる。逆に署名なしのまま72時間が過ぎれば、草案は棚上げとなり、停戦そのものの継続性にも疑問符がつく。どちらに転んでも、今週末は目が離せない。