米イラン停戦崩壊の瀬戸際——4月8日に発効した停戦から数週間、今週だけで弾道ミサイルが迎撃され、ドローン5機が海峡で撃墜された。「崩壊」という言葉がリアルになってきた。

バンダル・アッバース空爆とIRGCの即時反撃

米中央軍(CENTCOM)は、イラン南部の港湾都市バンダル・アッバースにある地上管制施設を空爆したと発表。これに対しIRGCは「侵略に報いなきはなし」と声明を出し、米軍基地への攻撃実施を宣言した。

「イランは、米中央軍がバンダル・アッバースの『地上管制施設』と説明した空爆に対し、『侵略に報いなきはなし』と警告。IRGCはその後、米軍基地への攻撃を実施したと発表した。」(BBC News / CENTCOM)

IRGCは攻撃先の基地名を明かさなかったが、米中央軍がクウェート上空で弾道ミサイル1発を迎撃したと確認。クウェートには米軍の複数の拠点がある。CENTCOMはこれを「著しい停戦違反」と強く非難しており、双方が相手の言葉をそのまま鏡に映したような非難合戦になっている点が気になるところだ。

ホルムズ海峡で再燃——ドローン5機撃墜の意味

さらに米軍は、ホルムズ海峡周辺で「脅威をもたらす」イラン製ドローン5機を撃墜したと発表した。IRGC弾道ミサイルとドローン攻撃がほぼ同時期に起きたことで、単発の挑発ではなく組織的な圧力という見方が出てきた。

ホルムズ海峡は世界の石油輸送量の約20%が通過するルート。ここでの緊張が長引けば原油価格への波及は避けにくく、エネルギー市場は神経質な動きを見せ始めている。ただ今のところ、4月上旬の本格的な交戦期と比べると攻撃規模はずっと小さい——そこだけは見落とせないファクトだろう。

この先どうなる

トランプ大統領は交渉の進展に「まだ満足していない」と発言しており、核合意交渉の着地点は見えていない。BBCはこの停戦を「一本の糸にぶら下がっている」と表現しつつも、外交プロセス自体は「進展している」とも報じている。つまり交戦状態に完全に戻るほどの意思は双方にまだない——という綱渡りが続いているらしい。

注目点は三つ。①次のCENTCOM声明でIRGCの反応規模が変化するか、②ホルムズ海峡の商業船舶への実害が出るか、③トランプが交渉テーブルを蹴るかどうか。どれか一つが崩れると、停戦という名の「一本の糸」が切れる。