ホルムズ海峡を通る商船に、今まさに米海軍の艦艇が張り付いている。世界の原油輸送量の約20%が通過するこの海峡で、米国が直接護衛に乗り出したと報じられた。タイミングが興味深い——ちょうどイラン核交渉の続く最中だった。
核交渉の裏で動く米海軍、ホルムズ海峡の今
ウォール・ストリート・ジャーナルが伝えたところによると、米海軍は現在、ホルムズ海峡を通過する商業船舶の誘導を実施している。単に周辺を哨戒するのではなく、船団に寄り添いながら通峡を支援する形らしい。
「核交渉が続く中、イランとの緊張が高まるホルムズ海峡で、米海軍が商船の誘導を行っていると報じられた」(ウォール・ストリート・ジャーナル)
イランは過去に何度もホルムズ封鎖をちらつかせてきた。2019年には革命防衛隊が英国タンカーを拿捕し、世界中を驚かせた経緯もある。そうした前歴があるからこそ、今回の護衛態勢は単なる「念のため」では読めない。
1日2000万バレルが通る咽頭部——封鎖されたら何が起きるか
ホルムズ海峡の幅は最も狭いところで約33キロ。そこを1日あたり推定2000万バレルもの原油が通り抜けていく。湾岸産油国からの輸出ルートが実質ここ一本に絞られているため、封鎖されれば代替手段はほぼない。原油価格の急騰、エネルギー輸入依存度の高い日本や韓国・欧州への連鎖的なダメージ——シミュレーションは何度もされてきたが、どれも「数週間で世界経済が揺らぐ」という結論だった。
イラン核交渉2025の行方と並行してこの護衛が実施されているのは、米国が「交渉しながら抑止する」という姿勢を崩していないためとみられる。外交チャンネルが開いているからといって軍事的プレゼンスを下げると、イラン側の交渉カードが増える——そういう計算が働いているんじゃないか。原油輸送の地政学リスクが高まるたびにこの図式が繰り返されてきた。
この先どうなる
核合意が成立すれば、米海軍の護衛態勢は縮小に向かう可能性がある。ただ、2015年のJCPOAが崩れた経緯を思えば、合意即安心とはならないだろう。交渉が決裂した場合はむしろ護衛の常態化、あるいは多国間の海峡警備体制への移行もあり得る。イランの出方次第では、原油輸送の地政学リスクが一気に価格へ跳ね返る局面も否定できない。ホルムズ海峡と交渉テーブル——この二つから目が離せない状況はしばらく続きそうだ。