トランプ イラン核合意が「間もなく」——そう書かれたTruth Social投稿が拡散した瞬間、原油先物は微妙に揺れた。大統領自らが署名を迫るような言葉を選んだのは今回が初めてではないが、今回は交渉の水面下で何かが動いているという観測が重なった。

Truth Social投稿の一言が動かしたもの

トランプ大統領はTruth Socialに「合意は近い」という趣旨の投稿を行い、イランとの核交渉が最終段階に差し掛かっているとの認識を示した。ホワイトハウス周辺の複数の報道によれば、オマーンを仲介とした間接協議が続いており、ウラン濃縮の上限と制裁解除のタイミングが最大の焦点らしい。

ただ調べていて引っかかったのは、「大筋合意」という言葉と現実の距離感だった。イラン側は制裁の段階的解除を求め、米側は濃縮活動の即時停止を優先している——この溝は2015年のJCPOA交渉でも最後まで残った争点とほぼ同じ構図だった。

出典:Donald J. Trump / Truth Social
https://truthsocial.com/@realDonaldTrump/116643839051547343

トランプ氏がSNSで先に「合意近し」と発信するパターンは、北朝鮮交渉でも見られた手法だ。相手に退路を断たせる心理的圧力として機能することもあれば、交渉担当者の足元を崩すリスクにもなりうる。

イスラエルと原油——合意を阻む2つの地雷

仮にトランプ イラン核合意が成立した場合、最も早く動くのは原油市場だろう。イランの輸出制限が緩和されれば日量100万バレル超の供給増につながるとの試算があり、ホルムズ海峡の緊張緩和と合わせてブレント原油への下押し圧力は相当なものになるはずだ。

問題はイスラエルだった。ネタニヤフ政権はイランの核能力を物理的に破壊することを繰り返し公言しており、外交的な核合意には「時間稼ぎに過ぎない」という立場を崩していない。合意が成立すれば、イスラエルによる単独軍事行動のリスクが逆に高まるという逆説的なシナリオも専門家の間では語られている。

湾岸諸国の反応も一枚岩ではない。サウジアラビアはイランとの国交正常化を進めた直後でもあり、合意を歓迎する建前と、シーア派影響圏の拡大への懸念という本音が同居している状況だ。

この先どうなる

次の72時間という表現が交渉筋から出ているのは、何らかの期限交渉が内部で存在するからではないかという見方が出ている。ただ過去の核交渉を振り返ると、「あと数日」という言葉が何十回繰り返されたかは言うまでもなく、楽観論がそのまま着地した例は多くない。

Truth Social投稿という形で世界に発信された以上、トランプ氏自身も後に引きにくい状況を作った面はある。合意成立なら原油安・ホルムズ海峡の緊張緩和という連鎖が動き出し、決裂なら対イラン制裁強化と軍事オプション復活という別の流れが加速する。どちらに転ぶにせよ、この交渉は2025年の地政学地図を書き換える数少ない変数の一つとして、目を離せない状況が続きそうだ。