ケン・パクストンが、テキサス州の現職上院議員ジョン・コーニンを破った。弾劾危機を2度くぐり抜け、連邦捜査の標的にもなりながら、なおも生き残った政治家が、今度は連邦議会の一議席を手にしたことになる。
コーニン落選——テキサス共和党に何が起きたか
ジョン・コーニンといえば、テキサス州選出の重鎮上院議員として20年超のキャリアを持つ。銃規制の超党派協議にも関わり、「ワシントン寄りの共和党」を体現してきた人物だった。
そのコーニンが敗れたとなれば、テキサス共和党内の力学が相当に動いたと考えていい。トランプ路線と距離を置く中道寄りの共和党員が、予備選という「身内の審判」で弾かれる流れはここ数年で加速していたが、今回のテキサスはその象徴的な一戦になりそうだ。
パクストンはもともとテキサス州司法長官として頭角を現し、2020年大統領選でバイデン勝利を認めたペンシルベニア州などを最高裁に訴える訴訟を主導した。その訴訟は棄却されたが、トランプ支持層への訴求力はむしろ高まった。
パクストンが「生き残れた」もう一つの理由
2023年、テキサス州議会下院はパクストンを職権乱用などの疑いで弾劾した。ところが上院の審判では無罪評決。続く連邦捜査も不起訴で終結している。
この経緯が、トランプ支持者の目には「権力機構からの弾圧に打ち勝った男」と映ったらしい。トランプ自身が同様の「迫害」物語を語り続けていることを考えれば、パクストンとの親和性は単なる政策上の一致を超えていた、といえる。
トランプはTruth Socialにこう投稿している。
「ケン・パクストンの圧倒的な勝利を祝福する。そして、力強く競争力ある戦いを見せたジョン・コーニンにも敬意を表する。」
コーニンへの「敬意」をあえて添えているのは、党内融和を装うためか、それともトランプ流の「余裕の見せ方」か。どちらにせよ、メッセージの重心がパクストン側にあることは明らかだ。
テキサス上院議員選の結果は、トランプ共和党2026という文脈でも読まれる。2026年中間選挙では上院35議席が改選対象になり、現時点で共和党は過半数を押さえているが、そこに「忠誠度」の高い候補を送り込む作業は着々と進んでいる格好だ。
この先どうなる
パクストンが連邦上院に入ることで、トランプの政策議題——移民・国境、連邦捜査機関の解体論、選挙改革——を議会内で声高に推す議員がまた一人増える。テキサスは人口増加が続く大票田でもあり、民主党が2028年以降を見据えて「フリッパブル・ステート」候補に挙げていた州でもある。
その意味では、今回の結果は単なる予備選の一勝にとどまらない。ワシントンの権力構造が選挙ごとに書き換えられていく——トランプの言葉をそのまま使うなら、そういうことになる。2026年秋に向け、テキサスはもう一度、全米の注目を集める舞台になるんじゃないか。