モハンマド・オデーが標的にされたのは、前任者が同様の空爆で死亡してからわずか数日後のことだった。2025年6月、イスラエル軍はガザ市中心部のアル・カヤリビルに対して大規模な空爆を実施。現地の医療関係者と目撃者によると、少なくとも3人が死亡し、数十人が負傷したという。ハマスとの停戦合意が続く中での攻撃で、国際社会の視線が再びガザに集まっている。
5発同時着弾――イード前の市場を直撃した作戦の詳細
攻撃が起きたのは、イスラム教の祭日イード・アル=アドハーを目前に控えた午前中。ビル周辺の通りは大勢の買い物客で賑わっていた。目撃者によれば、異なる方向から計5発のミサイルがほぼ同時に着弾したらしく、上層3フロアが一気に崩壊。「攻撃の直前、上空でヘリコプターの音が聞こえた」と証言した住民もいた。
救助隊は現場に急行したものの、被害の大きさと周辺の混雑で上階への到達に手間取った。周囲に人が多すぎて、瓦礫の除去すら思うように進まなかったようだ。
「通りはイスラム教の祝日イード・アル=アドハーを前に買い物客で賑わっていた。イスラエルのネタニヤフ首相府は、イスラエル軍がハマス武装部門司令官のモハンマド・オデーを標的にしたと述べた。前任者が同様の攻撃で死亡してから数日後のことだった。」(BBC News / Reutersより)
ネタニヤフ首相府はこの攻撃について、オデーが「10月7日攻撃の立案者の一人」だと説明している。ただし、オデーが実際に死亡したかどうかは現時点で確認されておらず、ハマス側もイスラエル側もコメントを出していない。
停戦下攻撃が続く構図――ガザ市空爆はこれが初めてではない
今回のガザ市空爆は、停戦合意が有効な状態での軍事作戦という点で改めて注目を集めた。イスラエルはこれまでも、停戦の枠組みを維持しながらハマス幹部を標的にした「ピンポイント作戦」を繰り返してきた経緯がある。前任司令官の死亡から数日でオデーが後任に就き、そのオデーもすぐに標的になったという流れを見ると、イスラエル側が停戦期間を「組織の再建を阻止する機会」として使っている節がある。
一方、民間の市場に近い場所でミサイルが5発同時着弾したことは、人道上の問題として批判を受けやすい。国際法上の「均衡性」の観点から問われる余地も大きい。停戦中の攻撃、しかも祝祭日の混雑した市街地という状況は、各国政府や国際機関が見過ごしにくい組み合わせだろう。
この先どうなる
最も気になるのは、オデーの生死が確認された後の動きだ。もし死亡が確認されれば、ハマスは3代目の武装部門司令官を失うことになり、組織の指揮系統への打撃は小さくない。ただ、それがすぐに停戦の崩壊につながるかどうかは別の話で、ハマス側には停戦継続の実利もある。イスラエルが「停戦中も敵対的な指導者は排除する」という姿勢を維持し続けるなら、ガザ市空爆はこれが最後にはならないとみておいた方がいい。次の局面は、ハマスが今回の攻撃にどう反応するかにかかっている。