バンダルアッバース空爆の報が入ったのは月曜日のことだった。米中央軍(CENTCOM)が「イラン南部で自衛目的の攻撃を実施した」と発表し、わずか数時間後にはイラン外務省が「重大な停戦違反」と反発する声明を出した。4月8日に成立したばかりの停戦合意が、またしても崩壊の淵に立たされている。

ホルムズ海峡封鎖で、すでに原油価格は動いていた

今回の攻撃対象となったバンダルアッバースは、ホルムズ海峡に面したイランの主要軍港。CENTCOMによれば、イラン軍のミサイル基地と機雷を敷設しようとしていた船舶が標的になったとされる。

ホルムズ海峡はイランの封鎖措置によってすでに通航が困難な状態にあり、世界のエネルギー価格は急騰している。そこへ今回の空爆が重なった格好だ。停戦前から続く「海峡をめぐる綱引き」が、合意後も続いていたらしい。

「米軍は本日、イラン軍が及ぼす脅威から部隊を守るため、イラン南部で自衛目的の攻撃を実施した。」(米中央軍声明)

一方のイラン外務省は、ホルモズガン州への攻撃について「侵略的かつ不当な行為のいかなる結果も米国が負うべき責任だ」と明言。さらに「イスラム共和国はいかなる悪も必ず報いを受けさせる」と続けた。停戦合意後の交戦としては、5月初旬に一度衝突があったと報じられており、今回は2度目になる。

2月開戦・4月停戦、それでも終わらない理由

この戦争の経緯を整理すると、2月28日に米・イスラエルがイランへの大規模攻撃を開始し、最高指導者が死亡する事態にまで発展した。その後数週間の戦闘を経て4月8日に停戦が成立。BBCによれば、以降は「おおむね遵守されてきた」とされていた。

ところが今回のバンダルアッバース近郊への攻撃が「自衛」か「違反」かという解釈の溝は深い。米側は「部隊への脅威」を根拠にするが、イラン側は機雷敷設船への先制的な攻撃を停戦合意の破棄と受け取った可能性が高い。同じ出来事を双方が正反対に読んでいる——これが今の交渉の難しさをよく表している。

この先どうなる

現時点でBBCを含む複数の国際メディアは「今回の攻撃が停戦交渉に与える影響は不透明」との見方を伝えている。イラン外務省の強硬声明が報復行動につながるのか、それとも外交チャンネルで吸収されるのか——ホルムズ海峡封鎖が続くかぎり、エネルギー市場も固唾を飲んで次の動きを待っているところだろう。停戦は文書上まだ生きているが、維持できるかどうかは今週中に見えてきそうだ。