欧州株が6連騰を止めた日、相場の引き金を引いたのはホルムズ海峡だった。5月26日、欧州主要株式市場は一斉に下落し、6日間続いた上昇相場に終止符を打った。なかでも英石油大手BPの急落が目を引く——エネルギーセクター全体に売りが連鎖し、投資家のリスク回避姿勢が一気に強まった格好だ。

BPが象徴した「エネルギー株売り」の連鎖

BP株価の急落は単独の現象じゃない。米政府がイランへの海上圧力を段階的に強めているという動きが、原油の主要輸送路であるホルムズ海峡の安全性への疑念を呼び起こしている。ここを通る原油は世界の約2割。供給不安が価格変動リスクとして意識されれば、エネルギー関連株が売られるのは自然な流れだった。
株式だけじゃなく、債券・通貨市場にも警戒感が広がっている点が今回の特徴だ。リスクオフの動きが複数の市場にまたがる展開は、単なる「産油国ニュース」の域を超えている。

「European stocks fell Tuesday, snapping a six-day winning streak」(Bloomberg, May 26, 2026)

6営業日ぶりの下落というのは、言い換えれば直前まで市場は楽観に傾いていたということ。その楽観がいかに地政学リスクに脆いか、改めて示された形だ。

ユーロ圏PMIはすでに収縮圏——エネルギーコスト上昇が追い打ちに

調べてみると、問題はBP単体の話にとどまらないことがわかる。米イラン緊張の高まりによるエネルギーコスト上昇は、製造業・輸送業に直撃する。ユーロ圏のPMI(購買担当者景気指数)はすでに景気縮小を示す50割れの水準にある。そこにエネルギーコスト高が加わると、企業収益の圧迫がさらに進むシナリオが現実味を帯びてくる。
欧州企業にとってイランリスクは遠い地域の話ではない。エネルギー調達コストの変動は、サプライチェーン全体のコスト設計に直結している。原油供給路への不安が長引けば、企業の設備投資や採用計画にも影響が出るかもしれない。

この先どうなる

米イラン間の緊張が短期的に緩和するシナリオは、今のところ見えにくい。米政府の海上圧力が継続する限り、ホルムズ海峡リスクは市場の頭上に居座り続ける。BP株価や欧州エネルギー株の動向は、その「温度計」として今後も注目されるだろう。
一方、ユーロ圏PMIの数値が次回発表でさらに悪化すれば、欧州中央銀行(ECB)の政策判断にも影響が及ぶ可能性がある。地政学リスクと景気指標という二つの圧力が同時にかかる局面——欧州市場にとって、しばらく気の抜けない展開が続きそうだ。