ケン・パクストンの名前が、トランプのTruth Socialに突然躍り出た。「彼はわが国最高の司法長官だ」——一言で候補者の命運を左右できる男が、テキサス州司法長官選に本格的に乗り出してきた格好だ。

弾劾を生き延びたパクストン、トランプ推薦で再び前線へ

パクストンといえば、バイデン政権下で連邦政府の移民政策や2020年大統領選の結果認定に対して訴訟を連発してきた、いわば「共和党の法廷先鋒」。全米でその名が知られるようになったのは、移民政策を巡る連邦対州の攻防を繰り返したからだった。

ただ、2023年には倫理違反をめぐる弾劾裁判に直面。テキサス州議会下院が訴追に踏み切るという前例のない事態になったが、州上院での審理では無罪評決を勝ち取り、政界に踏みとどまった。あれだけの騒ぎがあっても生き残るあたり、テキサスの保守地盤の厚さをあらためて実感させられる。

「テキサス州民よ、ケン・パクストンに投票せよ。彼はわが国最高の司法長官だ!」——Donald J. Trump(Truth Social)

今回のトランプ推薦投稿はシンプルな一言だが、その重みはまるで違う。共和党の予備選では「トランプ推薦あり」か「なし」かが、資金調達力にも支持率にも直結するのが現実。パクストンにとっては、弾劾騒動で傷ついたイメージを一気に塗り替えるカードになりうる。

2026年中間選挙、トランプが「AG人事」に口を出す理由

なぜ今、テキサスの司法長官選にトランプが動くのか——ここが引っかかった。

州の司法長官は連邦政府の政策に対して訴訟を起こせる数少ないポジションのひとつ。移民規制・選挙法・環境政策など、ワシントンが動くたびに「州側の抵抗拠点」として機能する。パクストンはまさにその役割を4年以上体を張って演じてきた人物だ。トランプ政権が2025年以降に推進したい政策を州レベルで守る「盾」として、実績あるパクストンを確保しておきたいという計算が透けて見える。

トランプ政治推薦の効果は実績として示されていて、2022年中間選挙でも推薦を受けた候補が予備選で次々と勝ち上がった経緯がある。テキサス司法長官選においても、この個人名指しがほかの候補への牽制として機能するのはほぼ確実だろう。

この先どうなる

2026年テキサス州司法長官選は、共和党内でパクストン再選支持派と弾劾賛成票を投じた候補たちの間の「内部清算」の場にもなりそうだ。トランプ推薦投稿が出た以上、対抗馬が資金を集めるのは格段に難しくなる。一方、倫理的疑義を抱えたままの候補を巡る民主党・独立系メディアの批判報道も当然強まるはず。パクストンが「最高の司法長官」として実際に選ばれるかどうかは、テキサス保守層がトランプの言葉をどこまで信任するかにかかっている。当面は候補者の出揃い具合と世論調査の数字を追うのが次のチェックポイントになる。