対中関税の次の一手が、半導体・EV・太陽電池に照準を合わせてきた。ウォール・ストリート・ジャーナルが関係者の話として報じたもので、追加指定が正式発動されれば、現行の関税体制にさらなる上乗せが加わることになる。調べれば調べるほど、これが単なる「貿易交渉のカード」じゃないことが見えてくる。
半導体への追加関税、なぜ今なのか
半導体は現代のインフラを支える素材で、スマートフォンから防衛システムまで用途は幅広い。米国がここに追加関税をかける狙いは、中国の半導体産業の育成を資金面・調達面の両方から締め上げることにある、とみられている。
ただ、話はそう単純じゃない。現時点でも多くの米国メーカーは中国の製造拠点や部品調達ネットワークに依存している。関税が上がれば、コストを最終的に誰が負担するか——その答えは消費者の財布に返ってくる可能性が高い。米中貿易戦争が技術産業の中枢に踏み込んできたことで、サプライチェーンの地政学リスクは以前とは別の次元になってきた。
「事情に詳しい関係者によると、米政権は半導体、電気自動車、太陽電池など幅広い中国製品に対する関税引き上げを準備しているという。」(ウォール・ストリート・ジャーナル)
とりわけ注目されるのが、関税発動のタイミングだ。複数の交渉局面が同時進行している中でこの報道が出てきたのは、市場へのシグナルとして機能している側面も否定できない。
EV関税が欧州市場の覇権争いを直撃する理由
EVへの追加関税は、BYDやNIOといった中国メーカーの米市場参入を事実上封じる効果が期待されている。ただ、ここで引っかかったのが欧州との関係だ。欧州連合もすでに中国製EVへの追加関税を発動済みで、米国の動きはそれを側面支援する形になる。裏を返せば、欧州市場での中国勢の浸透を食い止めるための「西側協調」的な圧力構造が生まれつつある、ということかもしれない。
太陽電池については、クリーンエネルギー転換を急ぐ米国内の事情と、安価な中国製パネルへの依存という矛盾が従来からあった。追加関税によって国内生産を後押しする方向性は理解できるが、再生可能エネルギーのコストが上がるというジレンマも同時に抱えることになる。
この先どうなる
正式な関税発動の宣言時期は、まだ固まっていないらしい。市場は発表のタイミングを読みながら、すでに先回りの動きを始めているとみられる。同盟国——特に日本や韓国——にとっても、半導体や自動車のサプライチェーンは対岸の火事じゃない。米中それぞれの次の一手次第で、グローバルなサプライチェーンの再編が加速するシナリオは十分にありうる。関税発動の「第2弾」が正式に宣言される日、その余波がどこまで広がるか——しばらく目が離せない。