ホルムズ海峡停戦合意が「本日中にも」と報じられた月曜日、原油価格は急落し、アジア株は一斉に上昇した。でも市場が先走っている可能性が、取材を追ううちにじわじわと見えてきた。

ルビオ「ホルムズ開放、かなり固まった」——60日停戦の中身

インド・デリーを訪問中のマルコ・ルビオ米国務長官は現地時間月曜日、記者団にこう語った。

「ホルムズ海峡の開放という点で、かなり固まったものがテーブルの上にある」(マルコ・ルビオ米国務長官、BBC経由)

報じられている枠組みは3点セット。①60日間の停戦延長、②イランが封鎖中のホルムズ海峡の再開、③イラン核開発をめぐる追加交渉の継続——という構成らしい。世界の石油・LNG輸送量の約20%が通過するホルムズ海峡が再開されれば、供給不安は一気に和らぐ。原油相場が即日反応したのはそのためだった。
ただルビオ自身、「読みすぎないように」と釘を刺すのも忘れなかった。「イラン側からの返答が届くまで少し時間がかかる」——この一言が、実はすべてを物語っていた。

ハメネイ師が消えた——交渉を止める「最高指導者の空白」

BBCの米パートナー・CBSニュースが報じた内容が引っかかった。米情報機関の分析として、イランのハメネイ最高指導者が戦争初日のイスラエルによる攻撃で負傷し、現在は非公開の場所に潜伏中だというのだ。交渉団との通信が困難な状態が続いており、これが合意スピードを落としているとされている。

イランの外務省報道官エスマイル・バガエイは週末「両者は非常に近い」と述べていた。近い、でも届かない。最高指導者の承認なしに最終合意へのゴーサインは出せない——それがイランの意思決定の現実で、ルビオイラン交渉が「あと一歩」で止まり続けている理由がここにある。
さらにトランプ大統領自身も「急いで合意するな」と交渉担当者に指示を出したと報じられた。「本日合意」と市場が期待する一方で、当の大統領が브레ーキを踏んでいるという奇妙な光景だった。

この先どうなる

ハメネイ師の健康状態と通信環境が回復しない限り、最終的なゴーサインは出せない状況が続くとみられる。60日停戦の枠組み自体は両国の交渉担当者レベルではほぼ合意済みとされており、あとは「誰がサインするか」という問題に絞られてきた感がある。市場は合意を織り込みはじめているが、最高指導者不在という変数が解消されなければ、原油価格の急反発も十分ありうる。次の焦点は、ハメネイ師が公の場に姿を現すか、あるいは代替的な意思決定ルートがイラン側から示されるか——この2点になりそうだ。