トランプ イラン核交渉の行方が、大統領自身のSNS投稿で突然、大きく揺れた。第5回目の米イラン協議が続く中、トランプはトゥルースソーシャルに一文を書き込んだ。民主党員、共和党内の造反派、そして「何も知らない愚か者」を一まとめに笑い飛ばしながら、自ら「潜在的な取引」の存在を口にした形だ。外交の場では異例の自己開示でもあり、どこまでが本気の交渉シグナルでどこまでが国内向けの啖呵なのか、判断しにくい投稿だった。

トランプが自爆した「手札の見せすぎ」か、それとも計算か

問題の投稿はこうだった。

「私がイランと進めている潜在的な取引について何も知らない民主党員、共和党内の裏切り者、愚か者どもが笑える」

調べてみると、この投稿が出たのは第5回核交渉の最中という微妙なタイミングだった。外交交渉中に「取引が動いている」と首脳自ら公言するのは、相手国への圧力にもなるが、同時に交渉カードを晒すリスクも抱える。米イラン潜在的取引の中身——ウラン濃縮の上限値、国際的な検証体制、制裁解除のスケジュール——については、何一つ公式に開示されていない。議会への共有すら怪しいという指摘まで出ている。

ここで引っかかるのは2018年の前例だ。トランプは第1期政権でオバマ政権が結んだイラン核合意(JCPOA)から一方的に離脱した。「史上最悪の取引」と断言し、「自分ならもっと良い合意を結べる」と公言し続けた。それから7年。「もっと良い取引」がようやく近いと本人が言っているわけで、楽観視するには2018年の記憶が邪魔をする。

両党を同時に敵に回す投稿が示すもの

今回の投稿で目立つのは、批判の矛先が民主党だけでなく共和党内の「裏切り者」にも向いている点だった。トランプ支持層には刺さる言葉だが、裏を返せば党内でも反発が出ているサインでもある。核合意をめぐっては、共和党内の対イラン強硬派が「制裁緩和は絶対ノー」という立場をとっており、取引成立には身内の説得という難題も残っている。

「何も知らない愚か者が笑える」という言い回しは、情報を握っているのは自分だけだという自己演出に映った。ただ、トゥルースソーシャルへの投稿が外交メッセージとして機能するのか、それとも支持者向けのパフォーマンスなのか——その境界線が見えないのが今のトランプ外交の特徴でもある。

この先どうなる

第5回協議が終わった後、次の焦点はウラン濃縮水準の合意ラインをどこに引くかになる。イランが「濃縮ゼロ」を受け入れるかどうかは現時点では不透明で、ここが最大の壁になると見られている。トランプが「近い」と言った取引が本当に成立するなら、JCPOAとは別の枠組みになる可能性が高く、議会承認なしの大統領令レベルの合意という形も浮上している。それは次の政権が一方的に破棄できる取引でもある、というのは頭に入れておいた方がいい。