キエフ大規模攻撃が市内40か所以上を同時に直撃した夜、15歳の少年も病院に運ばれた。ロシアが日曜深夜に放ったミサイルとドローンの波状攻撃は、住宅・学校・スーパーマーケットを無差別に襲い、1人が死亡、21人が負傷。首都全区域に被害が及ぶのは今回の戦争でも珍しいケースで、クリチコ市長はテレグラムに「首都の全区域で被害を確認」と投稿した。

9階建て住宅が直撃、防空壕の入口が瓦礫で塞がれた夜

中心部のシェフチェンコ地区では9階建て集合住宅が直撃を受け、最上階から火災が広がった。ここで1人が死亡している。同じ地区の学校近くでは、防空壕の入口が落下した破片で完全に塞がれ、複数の市民が内部に閉じ込められる事態に。消防・救助隊が駆けつけたが、市内各所で同時多発的に同様の状況が起きており、対応が追いつかない場面もあったらしい。入院した13人のうち3人は重篤な状態とされ、そのなかに冒頭の15歳少年も含まれる。

「市内40か所以上が直撃を受け、落下した破片が住宅、倉庫、スーパーマーケット、ショッピングセンターで火災を引き起こした」——キエフ市長ヴィタリ・クリチコ(テレグラム)

キエフ軍事行政トップのトカチェンコも「さらなる発射の可能性がある」と警告を発しており、市民は長時間にわたって地下に留まることを余儀なくされた。

プーチン報復宣言とスタロビリスク学生寮18人死亡、双方の言い分

今回の攻撃の引き金とされるのが、先週金曜に起きたスタロビリスク学生寮への攻撃だ。プーチン大統領はこの攻撃でロシア側に18人の死者が出たと主張し、ウクライナへの報復を明言していた。ウクライナ軍参謀本部はスタロビリスク近郊への攻撃自体は認めつつも、「標的はロシア軍の軍事ユニットだった」と主張している。民間人の学生寮か、それとも軍の施設か——この食い違いは今後も続く問いかけになりそうだ。プーチン報復宣言が実際の攻撃として実行された事実は変わらず、キエフ市民にとって今夜の恐怖は現実そのものだった。

この先どうなる

ロシアとウクライナの双方が「相手が先に民間人を狙った」と主張し合う構図は、停戦交渉の芽をさらに摘む方向に働きかねない。プーチン報復宣言が実行に移された今、ウクライナ側が次の反撃に踏み切るかどうかが短期的な焦点になる。一方、欧米の支援国がキエフ防衛のための防空システム追加供与を加速させる可能性もあり、今後数週間の動向は戦況だけでなく外交にも直結する。スタロビリスク学生寮問題をめぐる国際的な検証も求められており、独立した調査が入るかどうかが今後の情報戦を左右するポイントになるだろう。