バロチスタン解放軍(BLA)が仕掛けた自爆テロで、少なくとも23人が死亡した。現場はパキスタン南西部、バロチスタン州の鉄道線路脇。ここを狙うのには、理由がある。
死者23人――狙われたのは「620億ドルの大動脈」
バロチスタン州は、中国とパキスタンが共同で進めるCPEC(中パ経済回廊)の幹線が通る要衝だ。総額620億ドルに及ぶインフラ網のなかで、鉄道は物資と人員を運ぶ文字通りの背骨にあたる。
APの報道によれば、爆発は線路脇で発生。被害の詳細は現在も確認中だが、死傷者の数はさらに増える可能性がある。
「パキスタン南西部で、線路脇での自爆テロにより少なくとも23人が死亡した」――AP通信
BLAはこれまでも、CPECの関連施設や中国人技術者を標的とした攻撃を繰り返してきた。鉄道は象徴的なターゲットであり続けている。
BLAは「テロ組織」か「抵抗運動」か――見方で割れる評価
バロチスタン解放軍は、パキスタンからの分離独立を掲げる武装勢力だ。パキスタン政府と米国はテロ組織に指定しているが、現地では資源の収益がバロチスタンに還元されないという長年の不満が根強くある。
CPECが進むほど、中国資本と外部労働者が流入し、地元住民が取り残されるという構図が鮮明になってきた。BLAはその怒りを暴力に変換する回路として機能しているとも言えそうだ。
パキスタン軍との衝突は繰り返されてきたが、解決の糸口は見えていない。軍事作戦で指導者を倒しても、組織は再編成を繰り返してきた歴史がある。
この先どうなる
今回の攻撃が中国側の投資姿勢に影響するかどうかが、短期的には最大の焦点になるだろう。中国はこれまでBLAの攻撃を受けても撤退せず、セキュリティ強化で対応してきた。ただ、攻撃の規模や頻度が上がれば、保険コストや人員配置の見直しを迫られる可能性はある。
パキスタン政府にとっては、CPEC中パ経済回廊の安全を担保できなければ、対中関係そのものが揺らぎかねない局面。治安維持と政治的解決の両立という難題は、今回の爆発でまた一段と重くなった。パキスタン鉄道テロが「一過性の事件」で終わらない理由がそこにある。