ホルムズ海峡封鎖が現実になった今、インドが直面している数字は想像以上に重い。エネルギー需要の80%以上を輸入に頼るこの国で、通常なら原油輸入の約半分がこの水路を通って届く。その経路が、米国とイスラエルによるイラン攻撃を受けて「実質的に機能停止」に陥っている。

ルビオが持ち込んだ提案と、モディが踏み込まなかった言葉

米国務長官マルコ・ルビオは土曜にコルカタ入りし、デリーへ移動してモディ首相と会談した。会談後、米側スポークスマンはこう述べた。

「米国はイランが世界のエネルギー市場を人質に取ることを断じて許さない」とし、米国産エネルギー製品がインドのエネルギー供給を多様化する潜在力を持つと断言した。

ホワイトハウスへの招待も伝えられた。一方、モディ側の発言はかなり抑制的で「地域および世界の平和と安全保障に関する問題を協議した」にとどまった。ルビオが売り込んだのに対し、モディは受け取ったとも断ったとも言わなかった、という形。この非対称なコメントがむしろ面白い。

インドにとって「乗り換え」はそう簡単じゃない

インドはもともと、ロシア産原油を割安で大量に買い込んでいた国だ。ウクライナ侵攻後に欧米が制裁を課した後も、インドは「戦略的自律」を旗印にロシアとの取引を続けてきた経緯がある。米国産LNGや原油に乗り換えるとなれば、価格・インフラ・輸送コストすべてで試算し直しが要る。ルビオが「できる限り多くのエネルギーを売りたい」と事前に示唆していたのも、あながち交渉の建前だけではないだろう。ホルムズ封鎖というタイミングが、米国のエネルギーセールスに強烈な追い風を吹かせているのは否定しようがない。

この先どうなる

焦点はイランとの和平交渉の行方だ。イランはホルムズ封鎖を「圧力カード」として使っており、交渉が進展すれば海峡は再び開く可能性がある。そうなったとき、インドが米国産エネルギーへの乗り換えをどこまで進めるかは別の話になってくる。逆に交渉が長期化すれば、インドは今まで以上に供給源の多角化を急がざるを得ない。モディのホワイトハウス訪問が実現するかどうか、その日程感が出たとき、この会談の「重さ」がはっきり見えてくるんじゃないか。