米イラン核交渉で、トランプ大統領が「合意草案をすでに確認した」と認めた。CBSニュースの取材に答えたもので、草案の評価を「分からない」と言葉を濁しつつも、一点だけははっきり言い切った――核保有を阻止できない合意なら署名しない、と。

トランプが示した「レッドライン」と脅し文句

大統領は草案の中身に踏み込まなかったものの、条件については一歩も引かない姿勢を見せた。

「我々が望むすべてを得られる合意にしか署名しない。合意に達するか、さもなくば、いかなる国もこれほど激しく攻撃された例がないという事態になる」

要するに「全部取るか、軍事行動か」という二択を突きつけた形で、これはかなり強硬な物言いだった。外交的な含みより、国内向けのメッセージと読む向きも多い。ただ実際に行動に移す前に合意を急いでいる印象もあって、どこまで本気の脅しなのかは測りにくい。

イラン「14項目」の中に核問題は入っていない

一方、イラン外務省報道官のバカエイ氏は国営テレビで、この一週間で双方の立場が近づいてきたと認めた。ただし「合意が近い」とは言っていない。むしろ米国側の「矛盾した発言」を批判しつつ、状況を丁寧に整理してみせた。

バカエイ氏によると、イラン側は現在14項目からなる枠組み合意の覚書を策定中で、30〜60日以内にさらなる協議を行い、最終合意へ進む段取りを想定しているらしい。ここで引っかかるのが「核兵器問題は初期提案に含めない」という発言で、トランプが「絶対条件」と言っている部分を、イラン側は最初のテーブルに乗せるつもりがないということになる。

つまり、双方が「進展している」と言いながら、最も重要な争点の扱いがまるで違う。トランプ草案確認の報道が先行しているが、実態はまだ相当な距離がある。バカエイ14項目枠組みが具体的にどんな内容かは現時点で非公開で、そこが今後の鍵になりそうだ。

ホルムズ海峡を通過する原油は世界供給量の約2割。交渉が決裂し緊張が高まれば、日本が輸入する中東原油の大部分に影響が出る。静観しているだけじゃ済まない話だった。

この先どうなる

トランプ氏はサウジアラビア、カタール、UAEなどの指導者と近く電話会談を行う見通しで、湾岸諸国への根回しも同時進行している。30〜60日という期限は意外と短く、夏前には何らかの形で局面が変わる可能性がある。最良シナリオは段階的な核凍結合意だが、最悪の場合は軍事的緊張の再燃という流れも排除できない。米イラン核交渉の次の山場は、バカエイ14項目枠組みの全容が明らかになるタイミングと重なるだろう。