ブンディブギョ型エボラウイルスの感染者が、コンゴ民主共和国で750件に迫った。死亡疑い例はすでに177人。WHOのテドロス事務局長が公式にリスク評価を「高い」から「非常に高い」へ引き上げると発表したのは、今週金曜日のジュネーブでの記者会見だったが、数字を並べてみると、これはかなり切迫した話だと気づく。
感染者の3人に1人が死亡――ブンディブギョ型とは何か
エボラ出血熱にはいくつかの型があり、2014年に西アフリカで猛威を振るったザイール型が最も有名だろう。ただ今回のコンゴ民主共和国感染拡大で問題になっているのは「ブンディブギョ型」という希少種。致死率は約33%とされ、感染した3人のうち1人が死亡する計算になる。そしてここが厄介なところで、承認済みのワクチンが現時点では存在しない。
テドロス氏はこう述べた。
「We are now revising our risk assessment to very high at the national level, high at the regional level, and low at the global level.(我々は現在、リスク評価を国レベルで非常に高い、地域レベルで高い、世界レベルで低いへと引き上げる)」
「世界レベルでは低い」という言葉に少し安堵しそうになるが、隣国ウガンダでもすでに確認例が出ていて、地域リスクは「高い」水準に指定されている。両国を移動した人物から感染が広がったとみられており、WHOはウガンダの状況を「安定している」と説明しつつも、目は離せないとしている。
オックスフォードが動いた――ただし2〜3か月後の臨床試験、保証はゼロ
英オックスフォード大学がブンディブギョ型に対応した新ワクチンの臨床試験を、2〜3か月以内に開始できる可能性があると報じられている。別の研究グループでも実験的ワクチンの開発が進んでいるが、そちらは試験用の投与量が準備できるまで6〜9か月かかる見通しらしい。どちらにしても「動物実験と人体試験を経てから」が前提で、有効性の判断はさらに先の話になる。今の感染拡大に間に合うかどうかは、正直わからない段階だ。
コンゴ民主共和国はエボラ出血熱の流行を繰り返してきた地域で、医療インフラの脆弱さや紛争地帯との近接が感染制御を難しくしてきた背景がある。今回の株がワクチン空白地帯で広がっているという事実は、過去の教訓がそのまま活かされていないことを示しているようでもある。
この先どうなる
オックスフォード大の臨床試験が予定通り始まれば、ブンディブギョ型エボラへの初の承認ワクチン誕生に向けた最初の一歩になる。ただし試験開始から承認まで通常数年かかるため、今の流行に直接効く話ではない。当面の焦点は、コンゴ民主共和国の感染封じ込めがどこまで機能するか、そしてウガンダへの越境感染が散発的な事例にとどまるかどうかだろう。WHOが「世界レベルのリスクは低い」と述べている間に、現地では今日も感染者数のカウントが続いている。